よかった音楽2024

y13i
·
公開:2025/6/12

寝たり起きたり息をしたりしてただけなのに、もう2025年も半分ほどに差し掛かってしまった。

よかった現場

11月の Pain of Salvation に尽きる。六本木 EX THEATER のほぼ中央最前で観ることができた。同イベントで共演した Cyclamen, Textures, Cynic も良かったけど、個人的には PoS が巨大すぎる。

人生の半分以上にもわたって好きなバンドおよびアーティスト最上位の一角として存在していて、「あまりにも来日しないので海外旅行する」を初めて実行したのも彼らを観るためだった。初見は2017年、Ragnar Zolberg が脱退して Johan Hallgren が復帰した頃、南仏トゥールーズの暑い6月に観た

それから7年ぶりに実物を観たけど、本当にすごいバンドだし、このバンドをずっと好きでよかったと思う。日本で観られる日が来るとは思わなかった。PoS 当人たちも招聘してくれた人たちも本当にありがとうという気持ちです。

よかったアルバム

いつもの感がすごい。

Bill Laurance - Bloom

2019年の傑作 Cables では Nils Frahm にも通じる宇宙的感覚とジャズ由来の洒脱さを奇跡的混合比で結晶させたピアニストのオーケストラ共演作。オーケストラといっても管楽器は不在、弦楽器のみの構成でザクザクとした刻みを主体としたアレンジが主であり、流麗さに加えて豪奢というより鋭利や敏捷といった言葉が似つかわしい趣。

Kiasmos - II

アイスランドとフェロー諸島のミニマルテクノな2人組、フルアルバム2作目。片割れの Ólafur Arnalds はずっと好きだったが前作はわりと後追いで聴いた。その後時々あった小規模なリリースもどれも好みな作風だったので期待していたが、果たしてその通りの完成度が届けられた。躍動的だけど同時に静謐をたたえる音でずっと聴いていられる。

Max Richter - In a Landscape

ポストクラシカル巨匠の最新作。この人もいつも通りでいつも通り素晴らしいという黄金金太郎飴枠として君臨している。弦楽器が徐々に展開していく比較的長尺な曲と、サウンドコラージュ的であったりピアノソロであったりする小品がいい感じに配されたアルバム構成もいつものものではあるのだけど、削ぎ落とされ、音数も編成も抑制された引き算の美を今作では特に強く感じた。

Röyksopp - Nebulous Nights (An Ambient Excursion into Profound Mysteries)

The Understanding はよく聴いてたけどそれ以外の作品はあまり知らず。タイトル通り完全にアンビエントだった。Steven Wilson が前年に出したやつの表題曲に近い感触がある。あれのずっと聴いていたいという弛緩感覚、このアルバムでは本当に2時間ずっとそれに浸るという塩梅。

よかったアーティスト

2024は音楽をあまり聴かなかった年になってしまった。その年にリリースされた良いと思う曲を年ごとにプレイリストに入れていて、だいたい年が終わるときには合計5時間〜6時間くらいになっている年が多かったが、今年は3時間に満たなかった。上で選んだアルバム枚数の少なさや新人の不在も然り。

しかし、2024年には現時点であまり知られていないがとても注目したいアーティストを知る機会が久しぶりにあり、2023年末に YouTube/Instagram に現れた N3b がその人だった。

Guitar nerd trying to make EDM.

を標榜し、聴いただけではギターとわからないような音を出している。その種明かしはショート動画に詳しい。

初期は生成 AI を使った MV を出していた。これも曲に合っていてとても良かった一方で、本人は顔出ししないタイプなのかな?と思っていたら

それまでの全曲をノンストップで披露する動画を上げてきて、良すぎて横転した。機材も独特で、テレに EverTune 載せてるのなんてこの人くらいしか見たことない。

宣言通りに2カ月ごとに新曲を出し続けているし、他アーティストとの共作や本人出演の MV など意欲的に活動している。特に近作の Okay では、これまでおそらく意図的に封印してきたであろうギターソロも鬼のように決まっていて格好良すぎた。

今後にも期待しかない。