憂鬱さが増している。現実から逃げ出したくなって少し目が潤んだ。何かきっかけがあった訳ではない。ただ漠然と、諦めたくなる。心が暗闇に囚われて、重みを増しているような感覚に陥る。
虚無感や憂鬱を強くしている原因は、焦りかもしれない。今の心身の状態に合っていないペースや基準で、幾つかの要求を自分に押し付けているのかもしれない。仕事やその他の何かで認められたい、特別な何かを得て何者かになりたい、そんな欲求不満や焦燥感が、自己否定に拍車を掛ける。
「僕ははダメだ、情けない、劣っている」のような自己卑下を、自分が頻繁にしているという明確な認識は無かったと思う。でも実際は、「今のままではダメだ、何も成し遂げられない自分は嫌だ」という念慮が、常に影を潜めて活動していた。
何を楽しみに生きてるんだろう。それは内省の形をした、「何も楽しくない」と主張する修辞的な疑問だ。ただ無機質な生活をするために、耐えている、時間を消耗している、そんな気がしてしまう。
そういった認識に囚われながら日中を過ごし、晩ご飯の時間になった。座り、ご飯を食べながらテレビドラマを観る。面白くて、自然と笑っている自分に気付く。なんや、「何を楽しみに生きてるんだろう」って虚無感を抱いてたけど、あるやん、楽しみ。そう思った。
そこから、楽しい事探しを頭の中でしてみる。ノチ(愛猫、仮名)を眺めたり一緒に遊んだりするのが楽しい、漫画を読むのが楽しい、週末にパン屋でパンを買ってきて食べながらドラマやアニメを見るのが楽しい、エッセイや哲学の本を読むのが楽しい、(いつもではないけれど)それなりに納得のいく文章を書けるのが楽しい、映画館に行くのが楽しい。
僕は今日、32歳になった。どんな30代を過ごしているかを過去にしっかり考えてこなかったけど、こんなに生きる事に悩み苦しんでいる未来なんて一瞬たりとも脳内で描いた記憶はない。でも、(気分の奥底に沈んで...