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先輩コーチの言葉
2023年の10月、SNSで「会食恐怖症の方の支援をしたい」と勇気を持って記事を投稿した。これまでたくさんの記事を書いてきたけれど、自分が会食恐怖症であることは書いてこなかった。初めて自身の症状について触れた。
私は2年前からコーチングを学んでいて、同じコーチングスクールの先輩が私の記事を読み、「話したい」と連絡してくれた。とても嬉しかった!その時はカウンセラーとして支援者でありながら、症状への不安がある中で日々を過ごしていた。
先輩コーチと話していると、お互いのこれまでの話になった。身近な人の一言によって困難を乗り越えられた経験を、先輩コーチが伝えてくれた。話を聞く中で、会食恐怖症が治るのではないかと初めて光が見えた…!症状を受け入れそのままでいようとすることが一番の近道なのではないかと思った。
そして先輩コーチは、「ありのままのよしさんが好きだよ!」と嘘偽りなく伝えてくれた。先輩コーチの体験談や一言から、「ありのままの自分が一番いいんだ!隠さないことがいいんだ!」と、その時何かが大きく変わった気がした。
姉とのカフェ
翌日、偶然姉とカフェに行く約束をしていた。毎回誰と行ってもどの席でも緊張してしまうお店にたまたま足を運んだ。「何も隠さない。これが私」と思いながら、すでに良いイメージができていた。前日から無理をしないように早めに寝たり、ゆったり過ごしたので調子もよかった。
姉とのカフェ時間は、会食恐怖症になる前の感覚を十数年ぶりに思い出させてくれた。
全然緊張していない。姉の顔を見て、美味しいねって自分の心の中でも、姉とも、カフェの空間とも一緒に味わいながら今ここにいると感じられた。これが私。そして、姉との時間も空間も自由に味わいたい私がいる。それを実現できている。心底嬉しかった。
この時間を通じて、私の隠れた不安も明らかになった。「症状が出たら相手が私を嫌った気がして、相手を嫌いにならなくてはいけないこと」が嫌だった。誰も嫌いになりたくなかった。だから波風立てずに穏便に済ませたかった。今は、緊張したり手が震えて相手がもし何か言ってきても、「ちょっと緊張してるんだよね〜でもこれが私なんだよ(てへぺろ)」くらいに思える自信があった。
「もし何か姉に言われても、姉を嫌いにならなくていい」と思えたら、ずいぶんと気が楽になった。誰も嫌いになりたくない。
「そのままで、自分の選択で、自分も相手も尊重したい」というのが、会食が怖いという自分の一部分が持つ願いだったのかもしれない。
もし誤解されたなら、誤解を解いていけばいい。
私が会食恐怖症の方の支援をしたい、自分の症状も公にしようと記事を書かなければ、先輩コーチと話すきっかけはなかったと思う。誰かのためになりたいという気持ちは、どこか巡り巡って自分に返って来るのかもれないと振り返り思った。
10代〜30代、価値観の変化
私自身、インテグレーション・コーチング®*¹を学びながら、「会食が怖い」という自分の一部分を本当の意味で受け容れることができていなかった(統合できてなかった)ことを知った。先輩コーチが痛みから乗り越えた経験を伝えてくれたように、私も自分の体験を伝えていく人であり続けたい。
「頑張って乗り越える」「やればできる!」をポリシーにして生きてきた10代、「無理をしない」「自分の気持ちを自分から相手に伝える」「いつでも感謝の気持ちを持ち続ける」ことを大切に過ごした20代、「ありのままの自分を受け容れる」「どうありたいかは自分で選択していける。作っていける」ことを知った今。
もちろん緊張する場面はあるし、症状が完全に治ったわけではないけれど、私にとっては大きな気づきであり一歩だった。
これからも、「これが私です」と、ありのままで、周りの人とつながっていきたい。
あとがき
全5回に分け、私の会食恐怖症にまつわるエピソードを書いてみました。自分でこの企画をはじめておきながら、振り返ることに苦痛を感じることもありました。苦しい経験を振り返るのはとても心が疲れます。そのような中、書いてくださった方々に本当に感謝しています。ありがとうございます。
誰もがありのまま、心地良いと感じる場所で、心地良いつながりの中で生きられるようになるといいなと願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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*1 インテグレーション・コーチング®️:当社は「人は生まれながらにして全体性のある存在である」という人間観に基づいた関わり方を大切に、「インテグレーション・コーチング®️」という独自のコーチングスタイルを採用しています。人は多面的な存在です。光の部分も影の部分も存在しています。そんな自分の中にあるさまざまな側面が、少しずつ統合(インテグレーション)されることで、自分らしさを取り戻す旅をサポートするのが「インテグレーション・コーチング®️」の役割であると考えています。(PRTIMES(株式会社THECOACHのページ)より引用)