ドラゴンズドグマ2が炎上した。もはや今さら説明不要なほどに炎上した。
その一方で、楽しんでいる人の声も少なくはなく、Amazonやメタスコアの低評価をよそに売上本数は10日で250万本に達した。
現状では「賛否両論」「人を選ぶ癖の強い作品」といったところだが、とりわけYouTubeにおいては低評価レビューの動画がやたらと目立つ。
なぜか?
YouTubeがその手の動画をおすすめに表示するアルゴリズムだから、と言われればそれまでだが、今回は別の角度から考えてみよう。
非配信向きのゲーム性
ドグマ2は人を選ぶゲームだと先程書いたが、具体的にどのような人が不向きと言えるだろうか。
色々考えられるが、まず真っ先に浮かぶのが「メインストーリーだけサラッと消化できれば十分なライトゲーマー」だ。
ドグマ2は、往年のオープンワールドに倣い、メインストーリーが非常に短い。
最近はメインストーリーに力を入れたオープンワールドも出てきたが、その分オープンワールドとしての探索部分はカジュアルに収まっており、基本的に両者はトレードオフだ。
そしてドグマ2は言うまでもなく、骨太な探索に重きを置いたほうのオープンワールドである。
メインストーリー、ないしはサブクエストだけを手っ取り早くなぞろうとすると、育成不足に陥り過酷な戦闘を強いられる。
そして、宿代が足りずジリ貧な旅を続け、野営も理解せずに不眠不休の旅を続けた末に竜憑きに見舞われるのである。
他のプレイヤーの受け売りだが、ドグマ2は効率厨に向いていない。
僕もそう思う。
思わぬアクシデントから生じる無駄を楽しんだり、ただ何となく気の向く方角へ歩き始める旅を楽しめない人には、とことん向いていない。
それはそれで仕方のない事だが、一方で、のっぴきならない事情で効率厨なプレイを強いられてしまう人たちがいる。
そう、配信者たちだ。
配信者たちは、視聴者のために撮れ高を用意せねばならない。
単調で目的のない旅を続けて同じ道をグダグダ歩く配信をするわけにいかないのだ。
故にクエストアイコンを追いかけるばかりの旅になり、戦力不足に陥って以下略。
自ら楽しめない遊び方に身を投じて、火達磨になりながら悶えているのがドグマ2の配信者たちだ。
無論、リスナーのことなど何処吹く風、自分の気の向くまま好きなだけグダった旅をお披露目するマイペースな配信者もおり、そういう人からの評価は高かったりする。
だからもっと正確に言うと、視聴者のためのピエロになっている配信者からの評価が低いのである。
リスナーありきのために好きなように遊ぶことができず、撮れ高を意識したプレイを半ば強要されながら、効率を阻害するドグマ2の不便さに日々イライラする。
正直、気の毒に思う。
ゲームを急いでクリアしたとて、後には何も残らない。
楽しめる時間を意図的に狭めて、それこそ何が楽しいのだろうか。
きっと何も楽しくはないだろう。彼らは楽しむためではなく、金のために嫌々話題作をやっているに過ぎない。
リスナー
彼らを救うことはもう不可能だが、まだ救える者もいる。
配信者の不平不満を真に受けるリスナーである。
無論、本当につまらないと感じる、肌の合わないプレイヤーもいることだろう。
その感性までは否定しない。
しかし、配信者がどれだけ著名であったとて、所詮は素人の一意見に過ぎない。
同じく効率的な旅を求めて蜂の巣にされ、怒りの矛先が見つからない中炎上レビュー動画を見て溜飲を下げた者。
あるいは、手にも取らずに好きな配信者だから思考停止で正しいと信じている者。
シンプルに、「つまんねーつまんねー」と喚く人の側にいて楽しいだろうか。
ゲームは楽しむためのものだ。
一旦振り上げた拳を下ろし、クエストのことは忘れ、気の向くままに旅に出てはどうだろうか。
かくいう僕も、発売直後はシステムを理解しきれずに否定的な記事を書いた。
信者でありながらこのザマだ。普通のプレイヤーからしたら、理解し難い仕様も多いだろう。僕とて全てを手放しに褒める気にはなれない。
しかし、竜憑き・高い宿代・不便なファストトラベルには、それぞれ対策を知る事に面白くなる深みがちゃんと用意されている。
そう、SNSを見る限りでは批判一辺倒な竜憑きですらだ。
周りが否定しているかどうかではなく、あなたがどう思うかを冷静に考えてみよう。
それでも不愉快だ、つまらないと思うのなら、本当に合わなかったのだろう。仕方ない。
しかし、自分の主張内容がどれもこれも「声だけは一丁前に大きい配信者」や「どこの誰とも知らないSNSの声」の受け売りばかりなら、まだこのゲームを楽しめる可能性があるかもしれない。
自分はどう感じたか。自分は何がしたいのか。
ドグマ2はまさに、そういう人に向けたゲームだ。
アップデートで竜憑きなどの仕様が変更される可能性は大いにあるが、ドグマ2は現時点でかなりピーキーで刺激の強いオープンワールドとして既に完成されている。
今しか味わえない刺激を楽しみつつ、今後のアップデート内容に期待してみてはどうだろうか。