わたしは散歩が好きだ。
以前にも夜の住宅街を散歩することについて書いたが、昼間の散歩ももちろん好きである。
近所の地図を国土地理院のサイトから印刷して、歩いた道を塗りつぶしたり。
何度も同じ道を歩いたり、行き当たりばったりで「知らない道だ、行ってみよう」と歩いたり。
自宅から半径3km~5kmの範囲をぐるぐる回っている。もうこの土地に10年以上住んでいるというのに、いまだに飽きないし、今後飽きてしまうような気もしない。
散歩は、散歩そのものも楽しくて見るものがいっぱいあるのだが、何も見ずにただ歩をリズムにのせて歩くことで考え事をしたりアイディアを思いつくことにも使える。
メモ帳と筆記具は持っていた方がいい。今すぐできないからこそやりたいことがいろいろ浮かんでくる。スマホのメモにつけることもある。SNSに直接かきこんでしまうこともある。とにかく思い浮かんだことは、なにかに書き留めておきたい。
3km程度の半径ではあるが、私の住む町はとても密度が高いと思っている。その範囲に「散歩で歩ける安全な公道・通り抜けを許された私道」がいったい何キロあるのだろうか。
同じ半径3kmの円の中でも、張り巡らされた道の密度は場所によって相当変わってくるだろう。私の自宅の近所は、住宅街と商店街で構成されており、大きな道路も大きな建物もそう多くない。代わりに歩くことができる道が網の目のように走っている。
私は一粒の赤血球のように、その毛細血管のような道にしみこんでいく。
心臓である我が家から出て、循環するように何度でも。