この記事は下記記事の続きです。お先にこちらからどうぞ。
旅の行程の3/4が終わった。後半は雨により、茹だるような暑さからは解放されているのだが、雨は雨でそれもまた疲れるものだ。結局どうあっても疲れるのだ。
5日目の豪雨からはそれほど強い雨もなく、降ったり止んだりの天気。その中をひたすら日本海側に沿って走っていくのだった。日本海の荒々しい岩々を横目に緩いカーブがひたすら続くだけなので、午前中は特筆する出来事はないのだが、とにかく良い景色ばかりだった。観光地だけが観光ではない。これがバイク旅のいいところだ。
ついに関西を射程圏内にとらえた。いや、とらえていない。まだまだこの時点では帰宅まで250kmほどある。しかし、関西の地名が見えるだけで安堵感があるというものだ。
途中、羽合に到着した。「日本のハワイ」という触れ込みで売り出している街だが、下記のようなリゾートのような場所は残念ながら見られなかった。
そしてやがて魚見台という景勝地に辿り着いた。これを超えるといよいよ鳥取市である。
天候が良ければもっといい景色だったろうなという雄大な景色だった。
途中、「因幡の白兎」で有名な白兎神社も通り過ぎたが、余裕がなく立ち寄ることはできなかった。また機会があれば行ってみたいものだ。
白兎神社を過ぎると、鳥取市街地へと入ってく。鳥取空港が横目に見えてくると「名探偵コナン」の文字が目に入ってくるようになった。作者が鳥取の出身なのである。(この時まで知らなかった)
初めて訪れた鳥取市の中心地は想像以上にこじんまりとしていた。中心駅であるJR鳥取駅の駅舎も古い感じで味がある。県庁所在地なのに全然それらしくない。これは貶しているわけではない。地方都市萌えとしてはたまらないのだ。
鳥取市街地から鳥取城を抜けると、いよいよ「鳥取といえば」の鳥取砂丘だ。
ちなみに鳥取城は、このとき何のお城かわからなかったので立ち寄らなかった。調べればサクッと出てくるとは思うが、うろ覚えの今の状態でも「豊臣秀吉が何か一枚噛んでたような気がする」くらいの認識だ。戦国時代ファンには申し訳ない。
さぁ、いよいよ鳥取砂丘だ。
とはいえ、前回も書いたが山陰地方はこの年の正月に旅行をして、鳥取砂丘も立ち寄っている。正直何の感動もない。しかし、やはりチェックポイントとしては写真だけでも撮っておきたいスポットである。本来なら海の方の大きな砂の丘に行くべきではあるが、入り口だけで踵を返すこととなる。靴の中が砂だらけになるからである。
ここでちょうどお昼を食べるには良い頃合いだった。鳥取のグルメというのがピンと来ていなかったので、砂丘の前の土産屋に併設された食堂で適当なものを食べた。
昼を食べると再度出発。
鳥取市および鳥取砂丘は意外と鳥取県の東の端にある。それほどと走らない間についに兵庫県へと入った。
関西に入ったとはいえ、走っている景色は鳥取を走っていた時とほぼ変わらない。兵庫の日本海側といえば京阪神からのカニツアーがよく組まれている。通り道にはカニを出しそうなお店がよく並んでいた。
先ほども書いたが、日本海沿いは同じような景色が続く。しかし、時折ある小さな港町 (というよりは集落) の景色は最高だった。その一部をこの記事にも貼り付けておく。
浜坂という地にある道の駅で但馬牛コロッケなるものを食べると、ここからは国道から外れて更に海の方に向かった。
走るルートは下の地図のようなコースだ。県道260号というものを通り、餘部崎灯台を目指すことにした。
ここでこの地図の県道260号を見てほしい。くにゃくにゃである。バイク乗りであれば辛い国道は「酷道」と呼ぶことがあるが、これは辛い県道「険道」だ。
落石だらけ、落ち葉だらけ、ガードレールがないカーブもあり、その先は断崖絶壁である。原付バイクで走るべき道ではない。車ならもっと無謀だ。まったくオススメできない。
そんな苦難の末、餘部崎灯台に辿り着いた。日本で一番高いところにある灯台なのだそうだ。たしかに険道はずっと上り急坂だった。
さて、地獄のような険道を過ぎると「余部鉄橋」に辿り着いた。余部鉄橋は一度は訪れてみたかった場所だ。とはいえ、本来見たかったのは低い民家の屋根の遥か上を通る鉄橋の姿だ。
しかし、残念ながら現在はこの赤い鉄橋は撤去され、コンクリート製の鉄道になっている。
これはこれで充分に良いものだが、一度は生で赤い鉄橋を見てみたかったものだ。
余部を出ると、また日本海に沿って走る。やがて時刻は夕刻。だんだん空が暗くなってきた。この日の最終目標は兵庫の豊岡と決めていた。しかし、その前にまだチェックポイントはある。それは、城崎マリンワールドだ。
すでに夕方なので水族館である城崎マリンワールドは閉館時間である。それでも訪れたかった理由は、以前に原付で関西の北端を目指す旅をしたことがあり、その到達点としてこの城崎マリンワールドを選んだことがある。なので、西端の地から走ってきた末に北端の地と点と点で結びたかったのだ。前回訪れたときは夜になってしまい、真っ暗だった。今回は明るいうちに来れて本当に良かった。
城崎マリンワールドから川沿いに南下すると、この日最後のチェックポイントである城崎温泉に辿り着いた。
城崎温泉でお風呂に入るのが目標だったので、バイクを近くに止めて湯めぐりをしてみた。湯めぐりといっても入るお風呂は時間の都合上一つだけだ。
さすが日本でも人気の温泉地のひとつ「城崎温泉」である。趣のある街並みに下駄のカランコロンした音が鳴る「ザ・温泉地」だ。
ゆっくりお湯に浸かり、疲れを落とすとすっかり夜になっていた。本音でいうとこのまま城崎温泉に宿をとって寝てしまいたいところだが、突然訪れて安い宿があるような場所ではない。
ちなみにこの旅で道後温泉と城崎温泉を制したことになる。同僚からは「文豪か?」と言われる始末。
城崎温泉からさらに南下して、兵庫県豊岡市の中心街へと辿り着いた。駅近く商店街の古いビジネスホテルにチェックインした。
これは田舎のホテルあるあるなのか、すごい昭和感だった。大きな透明の棒の付いた部屋の鍵、中に入ると大きなガラス製の灰皿、純喫茶のような壁紙。とりあえず風呂も先に入っていたので、寝られれば何でも良かったが、ちょっと特殊な体験をしたなという感じだった。
このツイートにあるように、豊岡の街はヤバかった。夕食が食えないまま終わるのかと思った。人のいない夜の街を彷徨った記憶が蘇ってくる。
どうやら居酒屋に入ったようだが、あまりこの店のことは覚えていない。たぶんビールを飲んで、ちょっとご飯を食べてさっさと帰ったのだろう。
満足はしたようである。
このままホテルに戻って眠りにつく。米子から走り抜けていよいよ関西。いよいよ翌日は最終日となる8日目である。