2026/03/03 エコオトピア

たーんえー
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公開:2026/3/3

「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」のイベントシナリオ、「エコオトピア」を読んだ。「PJ: REFRAC7IONS」(いわゆるシャッフルユニット)で、櫻木真乃さんと郁田はるきさんの2人組ユニット、「ザ・ふたりトラベラー」の物語だ。

PJ: REFRAC7IONSの中だと、自分は「十瞬」のシナリオが非常に好きだった。今回も同じ2人組、更に真乃さんはるきさんという個人的にもかなり好ましいアイドル2人ということでかなり期待していたが、実際十瞬にも並ぶくらいに好きなシナリオだったかも……

真乃さんは言わずと知れたシャニマスの顔だが、(鈴木羽那さんと共に)最後に追加された郁田はるきさんもふわふわした見かけながらかなり主人公属性のアイドルだ。彼女は広い興味と行動力、そして自らの芯を持っていて、所属ユニットでも彼女が主体的に動くエピソードは多い。なので実質主人公×主人公のユニットということになる(強いぜ)。

今回のシナリオは、主に真乃さん視点で進んでいく。彼女は普段やや引っ込み思案で思い悩みがちなところがある分、序盤は1つ年上のはるきさんが彼女をリードしていく(妹なのだが姉として見られたいはるきさんのお姉さんっぽい部分が見られてお得)。2人ではなく真乃さんの視点に寄ることでモノローグが挿入されたり、後々はるきさんの心の内が明かされる作りになっているのも良さだ。

今回の題材は上のPVを聴いてもらうとわかるように、少し前の時代を感じさせる、いわゆるレトロポップな楽曲だ。そして「当時を生きていない彼女たちが、知らないなりにこの曲をどう表現していくのか」がこのシナリオの1つのテーマになっている。彼女たちはこの時代について少しでも学ぼうと試みるのだが、やはり「知識」と「実体験」にはどうしても隔たりがある。この中で歌を届ける難しさに、彼女たちは向き合っていくことになる。

このシナリオで重要な場所として登場するのが、昔ながら喫茶店「喫茶とぽす」(toposはギリシャ語で場所を意味するらしい)だ。少しわかりにくい場所にあり、常連客はいるものの若者はほとんど来ないお店。そしてこのお店で過ごした時間は、当時を生きていない彼女たちに、タイムスリップのような体験を与えていく。文字通り時代を旅する2人、「ザ・ふたりトラベラー」だ。

そしてそういう、人の心の中の時間を越えさせる力がきっと音楽にもあるのだと信じて目指そうとするのが、このシナリオの好きなところだ。自分が好きな「ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス」で、音楽は聴いていた当時の記憶を呼び起こす力があると描かれていたのを思い出した。歌を喫茶とぽすのような「場所」になぞらえ、「この歌が……誰かの(あなたの)場所になりますように―――」と締めくくるのも非常に美しい。

お話の良さに加えて、映像表現にもとても力が入っていたと思う。特に喫茶とぽすの店内は作り込まれ、光の当たり方も綺麗で、このお店の居心地の良さがしっかりと伝わってくる作りになっていた。モノクロ写真としての過去の映像が、その人たちが生きていた時代を目撃するかのようにカラフルに変わっていく演出も良かった。シャニソンの映像、どんどん進化していくな……