はじめに
これは「2024年の"推し"本 Advent Calendar 2024」の25日目(に投稿したかった)記事です。
24日目はまえさんの「私の推し本: 『チーズはどこへ消えた?』を読んで」でした。
想像以上に、多様なジャンルの推し本をご紹介いただきました。
皆さんの語り口がとても小気味よく愛に溢れていて、アドカレの前口上がなくても自然と手に取ってみたくなる作品ばかりでした。
ご紹介いただいた本は、Kindle Unlimitedとhontoクーポンと社会人パワー(?)を駆使しながら購入させていただいています。12月、トータルでは食費より本に投資したかもしれない。
(※このアドカレのコンセプトの一つは、紹介いただいた本を、2025の年始に僕(@yud0uhu)が読むことです)
ご紹介いただいた中でも過去に読んだことがあったり、この期で購入させていただいて、すでに読了した本も何冊かあります。ですがせっかくなので、この年末年始に一冊ずつ消化していき、sizu.meやブクログなど何かの形で感想文を投稿していければなと考えています。
一人の方の選書から最低一冊以上(二冊以上ご紹介いただいた場合は二、三冊)は購入しているはず。電子版がなかったため、紙で買ったアーキテクチャの生態系はもう時期届きます。
推し本
技術書部門で2冊、小説部門から2冊ご紹介します。
技術書部門
①Web配信の技術―HTTPキャッシュ・リバースプロキシ・CDNを活用する
個人的に主催していた輪読会(#next_mokumoku_learn)で読んだ本です。輪読会としては二周目の回で選出した本でしたが、特に大規模配信を扱う上で必要となる知識(HTTPのCache-Controlヘッダの最適化の話に始まり、ローカルキャッシュからCDNキャッシュまで)を前提や用語から網羅的に解説してくれる良書でした。全456ページとボリューミーではありますが、読み応えのある一冊です。
②Tailwind CSS実践入門
本書はフレームワークの入門書ではあるものの、CSS設計の歴史的な変遷や思想的な話(ユーティリティファーストの考え方)、Tailwind CSSを前提にしたコンポーネント設計の話などが書かれていたのが印象深かったです。
最近はちょうど実務でTailwind CSSを扱っていますが、実践的な書き方の部分で参考になるだけでなく、いつ手にとっても風化しにくい知識(歴史や思想)について扱われている点でも、多くの方におすすめしたい一冊です。
小説部門
①流浪の月 (創元文芸文庫)
年明けに読んだ本です。繊細な文体でするっと読めてしまいますが、センシティブな内容ではあるため、読む人を選ぶかもしれない。夕食にアイスクリームが食べたくなる、そんなお話でした。
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488803018
②世界でいちばん透きとおった物語
「電子書籍化絶対不可能」の触れ込みが気になり読んだ本。最後まで読んで、たしかにこれは紙媒体でなければいけないはずだと納得します。
ぜひ、なるべく前情報を入れずに手に取って読んでいただきたい一冊です。
語り(※本書についての微ネタバレを含みます)
本書では、「叙述トリック」に通じる「ある仕掛け」が作品全体に施されています。
登場人物にとっては自明であるものの、読者の先入観・思い込みなどを逆手に取ってミスリードし、物語の前提を覆すようなどんでん返しを演出する技法のことを「叙述トリック」といいます。
これは、書籍という媒体が映像に比べて情報量が少ないことを利用したり(例えば、容姿や一人称など、最低限の描写で語り手の性別をミスリードさせること、なども比較的容易です)、与えられるべき情報(語り手の信頼性や、登場人物たちの世界常識など)をあえて語らない、などの技法が取られます。
「叙述トリック」で有名な作家として、綾辻行人氏(代表作だと、アニメ化もしたAnotherがあります)がいます。自分はこの方の館シリーズがたいへん好きで、最近だと早坂吝氏の「○○○○○○○○殺人事件」なども印象的でした。
「叙述トリック」は、"作品に用いられていること" を読者に悟られた時点でややネタバレになってしまう(前提知識が少なければ少ないほど、驚きが大きい)という性質があるため、あまり「叙述トリックが使われていること」を全面に出しておすすめすることはできないのがもどかしい、という側面があります。
綾辻行人氏の館シリーズ第一作目である「十角館の殺人」は、清原紘氏によってコミカライズもされています。画集と見紛うほどに一コマ一コマが美麗なイラストで、ミステリアスな世界観と個性豊かな登場人物たちが表現されているため、原作ファンはもちろん、原作を読んだことがない方にもぜひ手に取っていただきたいです(激推し)。
https://afternoon.kodansha.co.jp/c/jukkakukan.html
おまけ
今回詳しくはご紹介しませんが、漫画部門で選書をするなら、「アオのハコ(三浦糀)」と「虫と歌(市川春子)」でしょうか。
アドカレ1日目にご紹介したリーダーの作法は、ビジネス部門の選書ということにしておきます。(Amazonのカテゴリーがビジネス・経済だったため)
おわりに
読書は最高の娯楽であり、人生の師となり、糧となると考えています。アドカレに寄稿いただいた皆様、沢山の素敵な本との出会いの場をいただきありがとうございました!