好きなことで、生きていく

弓猫
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先日、「嫌いなことを突き詰めても、創作においてメリットはない」という話になり、知人と少し議論することになった。

過去記事に何度か書いているが、僕は少年期の頃から「嫌い」の言語化に余年がなかったため、端的に言うと異論を唱えた。

最終的にハッキリとした答えは出なかったが、「嫌いは怒りとセットで語られやすく、少なくとも怒り混じりの言語化に生産性は無いよね」という結論は一致した。

そして、「怒り混じりに嫌いを語るのは簡単なことであり、SNSで日々エンタメとして消化されている」という意見も納得がいった。

僕が得意分野だと思っていた「嫌いの言語化」は、確かにSNSを見渡せば嫌になるほど目にすることができる。

まして、怒り混じりともあれば何も誇れるような才能ではなく、ただ感情的なだけだ。

嫌いを語るのが悪いことでは決してないが、そこに怒りが混ざる際は、最低限「非生産的なエンタメである」ことは自覚しておきたい。

間違っても、これが僕の生き方だとか、自分にはこんな発散の仕方しかできないなどと、創作方面で正当化してはいけない。

そしてもうひとつ、重要な気づきが得られたのだが……。

これから話す内容は、至って真面目な考察ではあるものの、なんというか、下品な話だ。

品のない話が苦手な人は、これ以降は読まないことをおすすめする。

気づき

さて、ここではあまり書いてこなかったが、僕はアダルトゲームを作ろうとしている。

なぜアダルトなのかはシンプルで、生活のためだ。もっと言うなら金のためとも言える。

そして、僕は長年、創作活動に著しい支障をきたすスランプに陥っている。

しかし不思議な事に、アダルトゲームの企画において、アダルトの部分はいとも容易く案がまとまった。

それどころか、あれもしたい、これもしたいとアイデアが湧き上がってくるほどだ。

反面、ゲームの部分は暗礁に乗り上げており、創作仲間からのアドバイスももらって何とか形になりつつあるが、まだまだ定まったとは言い難い。

始めは疑問にも思わなかったが、よくよく考えると不思議だ。

なぜアダルトだけ、こうもあっさり決まるのか。

単純だから?いや、果たしてそうだろうか。

僕が作ろうとしているのは、女の子が醜悪なモンスター達と戦い、そして色々な意味で襲われるというもので、メジャーとは言えない。

その理由も、「ゲームはAVと違って非現実的な絵が撮れるから、現実なら到底不可能な過激な絵を追求したい」という、なかなか極まったものである。

決して、雑に決めたわけではない。

この差は、一体どこから来るのか。

しばらく考えて、ハッとした。

「嫌い」の有無である。

こんな話をするのもなんだが、僕はAVジャンキーである。サブスクに登録して見まくるレベルで浴びている。

言う機会がないから言わないだけで、スケベニンゲンである。

なんでそこまで見るのかと言われれば、もう答える必要もないだろう。

見たいものだけを見る。具体的に言うなら……いや具体的はまずいのでぼかして言うと、朕の朕朕がカ朕カ朕……いや、もっとぼかして言うと、息子がスタンディングオベーションするかどうか。

そこに「嫌い」の存在はない。

スタンディングオベーションするものだけを見る。無反応なものは見ない。そこにいちいち「嫌い」のレッテルを貼り、考察し、言語化することはない。

好きを追い詰めた後は賢者となり、賢者は怒りや嫌いに身を任せることなど無いからだ。

つまり、「浴びるようにAVを見る」という、一見するとただ命を粗末にしながら女にうつつを抜かすだけの行為は、実は創作活動の観点から見ると「純粋に好きだけを追い求め続ける行為」なのである。

だから、アダルト要素はすんなりと決まったのだ。

これはもう、世紀の、いや性器の大発見である。

好きを追求し、怒り混じりの嫌いを取り除いていけば、アイデアが湯水の如く湧き上がる。それを僕は、とっくに証明していたわけである。

もはや、前の記事に書いた産みの苦しみという言葉すら下ネタに聞こえてくる。

嬉しさのあまり調子に乗ってしまったが、本当に大真面目に考察した結果だ。

同時に、生活のため渋々アダルトゲームを選んだという後ろめたさもゼロになる。

好きの源流がエロスにあるから作るのだ、好きを追い求めるから作るのだと、今ならはっきり言える。

この気づきを手がかりに、まずは地道に好きを手繰り寄せながらゲームの企画を練りたい。

最初に書いた知人から親身なアドバイスも貰った結果、僕に必要なのは「フロム・ソフトウェアやカプコンのような、個人が目指すには途方もない『好き』ではなく、個人に実現可能な『好き』を探すことだ」ということもわかった。

個人で実現可能な「好き」。それを見つけるには、様々な好きを探求し、細かく分解し再解釈する流れが必要になる。

幸い、プログラミングでそれには慣れている。

道標を示してくれた知人に感謝を示すとともにクレジット代わりのリンクを貼りたいが、下ネタの後だと不名誉かもしれないのでまたの機会にする。

@yumineko
個人ゲーム開発者。開発の進捗は ci-en.dlsite.com/creator/20437 にて