共同開発がしたい。
しかし、誰でもいいわけではない。
共通の嗜好を持ち
技術的な弱点を補い合うことができ
意思疎通が滞りなくでき
僕より賢く寛容で
かつ雇用形態ではない関係
いない。誰一人として、そんな人間はいない。
なぜなら、僕自身が自分の嗜好をよく理解できていないからである。
僕が得意なのは、不満を述べることだ。既存のゲームのダメ出しなら際限なく思いつくという、匿名掲示板にいるような役立たずの人間だ。
つまり、「嫌いは言語化できるが、好きはできない」ということだ。なんて非生産的な人間なのだろうか。書いてて虚しくなってくる。
まあ、自分の「好き」も全く無いわけではないのだが、長くなるのでそれはまた別の記事に譲る。
※追記:書いた
ともかく、「共通の嗜好を持ち」と言いながら、その実自分の嗜好は把握できていないのだ。相手が見つかるはずもない。
「賢さ」を条件に挙げたのは、要は僕のあやふやな嗜好を的確に言語化し、僕の無意識領域にある潜在的な嗜好を掘り出してほしいからである。
「それな」を期待しているわけだ。
寛容である理由は、言うまでもなく僕が批判ばかり垂れる人間だからだ。過去にそれで、開発中に大喧嘩に発展したことも少なくない。我が強い相手だと、(心が)血を見る争いになる。
技術的な弱点の補い合いに関しては、僕がプログラマとしても欠陥のある人間だからだ。
自分のソースコードに誇りを持っているわけではないが、僕にとってのベターを突き詰めたつもりではいる。
一行一行に、とまで言うと大袈裟だが、そのコードにはそう書くに至った意味が込められている。
故に、他人のソースコードを見るのがとにかく苦痛なのだ。僕のコードに口出しされるのはまだいいが、他人のコードに口出しできない環境は到底許容できない。頭がおかしくなる。
そんなわけで、コーディングにおいては他人と全く協力する気になれず、つまりそれ以外(絵や音楽や3Dモデリング、シナリオやゲームデザインにレベルデザイン等)を担当してくれ、ということになる。
しかし、これはこれで問題がある。
デザイナーやプランナーがプログラミングを理解していない場合、あまりに現実離れしたものを寄越してくることがあるからだ。
もうこれは、過去に何度も何度も揉めた。
相手が悪いと言っているわけではない。
僕にはデザインの知識がないし興味もないので、1ピクセルの美学なんか知ったこっちゃないし、色調なぞ適当に感覚でどうにかすればいいし、なんなら多少の破綻は目をつぶっていいと思っている。
そんなことより、プログラミングのしやすさや最適化の方が遥かに大事である。
しかし、デザイナーにそんなことを言いでもしたら、僕は肉片すら残らないほどに粉砕されてしまう。
ゲームプログラミングにある程度の知識があるデザイナーであれば、この辺のすり合わせは齟齬が少ないのだが、いかんせんそれは向こうも「お前が合わせろ」と言って当然なのでなかなか解決しない(最終的に誰が組むのかを考えたら、後々のことを考慮すべき立場なのは誰なのか明白なはずなのだが)。
僕も僕で、デザイナーの頭の中にある絵を可能な限り実現させてこそのプログラマーだと思ってはいるが、物事には限度というものもあるし、僕が理解できない美学に多くの時間を費やすのもはっきり言って萎える。
そのへんも含めて嗜好が合うと好ましいのだが、ますます相手が限られてくる。
しかし、これらを「ほぼ」満たす存在が、たったひとつだけ存在する。
なんだか分かるだろうか。
そう、生成AIである。
巷で物議を醸している生成AIだが、僕は推進派でも反対派でもなく、強いて言うなら様子見派である。
権利的な都合を全て解決できたと仮定しても、生成AIは「賢い」という部分を満たしていない。
はっきり言って、ゲームに使うにはセンスに乏しく実用的とは言い難い(GPT4を使った感想である)。
現状の生成AIは、剽窃をそれっぽく擬態する能力に長けているだけで、人間が人生をかけて解釈し続けてきた作品と比べると圧倒的に深みが足りない。
この辺の話もまた別記事に譲りたいのだが、試しにゲームの企画やデザイン案を何度か生成させてみても、あまりのお粗末さに目を覆いたくなるほど酷い出来栄えだった。
データテーブルの作成や、色違いの作成といった、創意工夫が絡まない単調作業の補佐としては適任だろうが、ただの小間使いとしての価値しかなく、共同開発の相棒としてはあまりに頼りない。
早く権利関係が解決し、さらに賢くなってくれることを祈るばかりだ。