→1日目
2泊3日の中日ということで朝から晩まで一番自由に動ける日
この日は法隆寺のある斑鳩町(いかるがちょう)方面に足を延ばすことにした

奈良には突発的に来てみたけど、実はいつか行きたいなと思っていたところが一つあった
以前同僚と雑談していたときに奈良県出身と聞いたのでgoogleMapsを眺めていると、法起寺という三重塔がある寺が目についた

これが周りに畑しかないところにぽつんと建っていて、なんだかその佇まいが妙にいいなと気になっていた

なので今日はこの法起寺や法隆寺などを巡ることにする

奈良駅から法隆寺まではけっこう離れているので普通なら電車で行く距離感
ただランニングを趣味にしてると片道10kmは1時間くらいの手頃な運動になるし、見知らぬ土地を走ってみたいので今日はランニングで移動する日にした

ランニングウェアとトレイルザックを装備して出発。奈良駅前から川沿いの道を南下していく

昨日は雨が降ったりもしていたけど、今日は雨でも晴れでもなくランニングに最適な気候。この週の日曜にはレガシーハーフマラソンを走ったばかりだけど、あのときと似たような感じ
まだ日中は20度くらいあって半袖短パンがちょうどよく、それでいて日が差さなければ涼しさも感じられるのでだいぶ心地よく走れる

5kmくらい走ってちょうど中間くらいのところで郡山城跡という史跡があった
特に予定になかったけどせっかくだから寄っていくことにする
リニア新駅の誘致争い

城跡のところで「リニア新駅は、ど真ん中駅、大和郡山へ。」という看板が目についた
気になって後で調べてみたところ、リニアを奈良市付近を通す計画ではあるけど駅がどこになるかはまだ決まってなくて奈良県内で争っている最中とのことだった

名乗りを上げてるのは奈良市、生駒市、大和郡山市の3市
史跡を避けて奈良市北部を通すほうがルート的にはまっすぐで順当そうだけど、それだと県北部すぎるので南側に迂回させたいのが大和郡山ルートらしい

大和郡山市側の資料を読んでみると、こちらを中心にすれば奈良地域全体のバランスが良くなるということで「ど真ん中」というフレーズを推していて…


奈良のみならず紀伊半島や世界を回す独楽になるとか、羅城門と言うのが主張が強い
この3市の中で、一番勢力が大きいのは大和郡山市に駅を設置するよう要望している「『奈良県にリニアを!』の会」です。
奈良県内39市町村のうち、奈良市・生駒市・平群町を除いた36市町村と多くの県議会議員により結成され、会長は亀田忠彦・橿原市長が務めます。
どうやら大和郡山市単体で戦ってるのではなく「奈良市 vs 奈良市以外全部」みたいな構図になってるらしい(外枠から見れば東京-大阪間ユーザーの利便性 vs 奈良・紀伊半島の活性化だろうか)
大和郡山市は近鉄とJRが交差しているのでそのへんを中心にするとたしかに周囲の各方面に行くのが便利になるので奈良市近辺以外はそちらを支持しているようだ
郡山城跡
…というわけで話が逸れたけど、郡山城跡に入っていく


堀と石垣がある

なんか学生がいるな~と思ったら城跡内に学校があった。えっ学校?


かつての二の丸部分が学校になってるらしい

学校の正面に内堀があって本丸への橋がある
毎日城に通うような学生生活ってどんな感じなんだろう


本丸に入ると神社がある
祀られてるのは徳川綱吉の時代に甲斐領主として活躍した柳沢吉保
その子吉里が甲斐から郡山に転じたことでここに祀ったらしい

さっきの大和郡山市のリニア誘致の資料では「甲府と大和郡山がリニアで結ばれる」って主張があってこれ入れる必要ある??って思ったけど、まあこういう由来があるなら入れたくなっちゃうんだろなと思った

神社の裏手に天守台

石垣ってちゃんと間近で見たことなくて、こんな大小さまざまな石を詰めてるんだって思った


天守台
特に何も無いというか、元々何があったのか不明らしい
昨日行った二月堂もそうだけど、奈良盆地の開けたフィールドはちょっと登っただけで見晴らしがよい


石垣の裏手にはさかさ地蔵という名所
急ピッチで構築したためにいろんな石材がかき集められており、ここには石仏が逆さに積み込まれていたために珍しいありがたスポットになったらしい

ぱっと見で地蔵が見えなかったので取り外されてるのかなと思ってよく見てなかったけど、奥の方を照らせば確認できたようだ
奈良は寺社勢力が強い土地なのでこの城は武家勢力が睨みを効かせるという役割があり、石垣に石仏が使われているというのも寺社から徴収したものだとか

橋を渡り東側へ


菱形の庭園がある

昭和期に造られた庭。かつてはこの菱形部分が金魚池だったらしい
なんか華族の庭って感じ


郡山城は戦国時代に筒井氏によって築城されたものの関ケ原で取り壊しになり、そこから復興や取り壊しを経て今また再建しているところらしい
慈光院

城跡を見終えて再びランニング


慈光院というスポットがあった
庭園を見ながらお茶できるみたいだけどそこまで余裕なさそうなので入口だけ見る
法起寺

若干地形に起伏が出てきた

切り通しになっているところを抜けて…

斑鳩町に入る
三重塔が見えてきた

着いた


なんか周囲一面がコスモス畑になっていて、ちょうど開花時期だったので撮影している人が多かった

いいね
曇ってて快適とは言ったけど、写真的には晴れててほしかった

裏手の門。草ボーボーな佇まいがなんか好きだな

入場料は300円
中は三重塔と十一面観世音菩薩が収められた収蔵庫とお堂があるくらいでこじんまりとした構成

ここの三重塔は飛鳥時代のもので日本最古の三重塔らしい

今日巡ろうとしてる4寺セット券の案内があった
個別に買うと法起寺300円、法輪寺500円、中宮寺600円、法隆寺1500円なので2900円。セットなら500円ほど安くなるらしい
売ってる場所が限られてて法隆寺から巡れば販売所があるけど、法起寺から巡る人はあんまいなそう。買えるとすれば郡山駅前だった。各寺でも売ってくれればいいんだけど

このへんの法隆寺エリア4寺の位置関係。一番東側が法起寺になる
法隆寺観光する人だとわざわざここまで足を運ばない感じはする。奈良駅前にはレンタサイクルがあったので、ランニングはともかくサイクリングで巡るのはちょうどいいかもしれない
斑鳩溜池
法起寺を後にして法輪寺へ向かう

このへんは溜池が多い
数年前に溜池で親子が亡くなる事故があり、一度落ちると構造的に大人でも自力で上がるのは難しいということが話題になっていたので溜池=こわいという気持ちが強い

法輪寺手前には山背大兄王の墓所という看板があった
法隆寺周りは聖徳太子ゆかりの地だけど、聖徳太子の子である山背大兄王は蘇我入鹿に殺され、その2年後に蘇我入鹿が暗殺されたのが大化の改新の始まりとのこと

地図を見ると北側に斑鳩溜池というのがあるのが気になった

レビューによれば「日本溜池100選」とあり、そんな界隈あるんだと思う。ちょっと見てみることにする


途中に素盞鳴神社というのもあったので寄り道

少し坂を上って斑鳩溜池に到着
ここから法輪寺が見下ろせる

あぶないね


高台にありちょっとしたダム湖みたいな感じになってる

案内を見ると周囲は一周1.5kmの遊歩道になっており、ランニングにちょうど良さそうなので走ってみる


カーブがきついけどフラットで景色も開けていて走りやすい。キロ4分くらいまでペースが上がって気持ちよく走れた
代々木公園のように1周2kmくらいあると走りやすい感じがする。近所のコースだと1周500mくらいなので10kmだと20周走ることになってよく分からなくなるけど、1周2kmだと5周なので距離感を意識しやすい
法輪寺
斑鳩溜池を後にして法輪寺に到着


法輪寺にも三重塔があるけど落雷により焼失してしまい、こちらは昭和50年に再建したものらしい

講堂の中には薬師如来像などさまざまな仏像が展示されている

昨日の法華堂にもあった四天王像。普通は邪鬼を踏みつけにするのに、こちらの毘沙門天(多聞天)は米俵に乗っているというのが変わってる
下半身は補修されたもので米俵部分は江戸時代のものらしく、時代の変化により守護神から福の神という捉え方になったらしい
踏みつけにすると言えばヒストリエの主人公が持っていたアフラ・マズダーの飾りが実は鐙として使われていたもので、踏みつけにすることでペルシアとは敵対する部族だったと180度解釈が変わる展開がかっこよかったのを思い出す
中宮寺へ
法輪寺の後は中宮寺へ向かう

すぐそこ、って言われたので斑鳩神社に寄っていく

なんかこういう案内だともっと記号的なピクトグラムにしそうだけど、ちゃんと専用の絵が描き起こされていてかわいい




法隆寺が見えてきた

なんか開けたところに来た

次は中宮寺へ行くつもりだったけど、既にここは法隆寺の一部らしい
というか法隆寺の中に中宮寺があるらしい
法隆寺 東院伽藍

あんまよく分からず東院の夢殿(ゆめどの)というところに入る
拝観料300円だけど「西院伽藍と大宝蔵院も見るでしょ?」と言われて、ここではセット券販売してないからいったん単体チケット売るけどそれ持っていけば差額でセット券買えるよと言われる
やっぱり東側からアプローチするといろいろややこしいようだ。ていうかセット券どこでも買えるようにしてくれりゃいいんだけど…

八角形なのが特徴的な夢殿。中には聖徳太子の等身像と伝えられる救世観音像が公開されていて、外側をぐるっと周りながら中を覗き込むようになっていた

昔のお札には聖徳太子が多用されていて、そこに描かれていたのがこの夢殿だったそうだ
中宮寺

隣に中宮寺の入口があったので入る

こちらは尼寺となっていて国宝の菩薩半跏思惟像が安置されている
2つのお団子ヘアーと微笑みが特徴的

建物は水上の石垣の上に建てられていて三方に開けている。生活しづらそうだけどかっこいい
法隆寺 西院伽藍

東門から入って進んでいく

中門。実に法隆寺っぽい景色だ


法隆寺と言えば世界最古の木造建築でおなじみだけど、この西院伽藍の中にある五重塔と金堂がそれにあたるらしい

五重塔。仏舎利を祀る供養塔なので上階には登れないらしい
中は薄暗く鍾乳洞みたいに石仏が配置されていて四方から覗き込むことで釈迦に関する説話を表しているとのこと
なんとなくスカイリムのスカイ・ヘヴン聖堂にある壁画、アルドゥインの壁っぽいなって思った(過去作のストーリーに精通してないと何を表してるのかよく分からない)

大講堂
薬師三尊像が安置されている


金堂
内部をぐるっと回ることができ、中央に釈迦三尊像などさまざまな仏像が安置されている。こちらも外観だけで上階は無いんだよと中の人が言ってた
法隆寺 大宝蔵院


ひと通り見終えて大宝蔵院へ
ここも博物館なので疲れそうだなと思ったけど、なんか構成が面白かった

国宝が5点展示されており、メリハリのある配置でリズムよく見やすい


左右フロアの奥には「玉虫厨子」と「伝橘夫人念持仏及び厨子」という2つのでかい厨子が対称的に配置されている
厨子というのは仏像が収められている収納箱で仏壇みたいなものだけど、さきほどの五重塔のように四方に絵が描かれたミニチュア建築みたいになっていてストーリーが表されている
それをぐるぐると四方から眺められるようになっていてなんか良かった

左右をつなぐ中央には百済観音というひょろっとした観音像が安置されている
わりと来歴不明ながらも優美なフォルムで名高い

展示を見終えて休憩所に行くと玉虫厨子や百済観音だけで一冊の本になっていた

中身を見ると写真だけではなくいろんな人のレビューが載っていて面白そうだったので購入した(各1200円)

ひと通り見終えたら16時過ぎ。法隆寺秘宝展というのもやってたけどちょうど終了したところだった

というわけで今日はこれで全行程終了。帰ることにする

法隆寺駅までは1.5kmほど。徒歩だと20分くらいかかるからけっこう離れてる

昼も食べずに行動してお腹すいたので帰りは電車でさっさと帰る
いったんホテルに戻り着替えてご飯へ

今日こそ奈良らしい食べ物をと思ったけど、評判良さそうなタイ料理を食べに行った


カオカームーという豚足煮込み
豚足ってこってりしてるイメージあるけど、中華風のスパイスがきいてて爽やか。付属のタレはにんにくチリソースで辛くて味変になっておいしい

バタフライピーというハーブティー。レモンを絞ると色が変わる

この日も約3万歩
道中走ったので距離は少し伸びて27kmだった
→3日目