小説原稿とチャットGPT・詳細編(3)キャラ解釈をAIに教える

tndr215
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公開:2025/5/22

◆前回のあらすじ

「何をする話か」のタネがどうやって「何を達成する話か」に変わるかの軌跡を書いた。

◆脱稿までのかんたんなフロー(おさらい)

  1. 何をする話か決める

  2. 山場を決める(何を達成すればいい話なのか)←ここまで終了

  3. 何が障害になるのか/どういうイベントがあればいいか/どういうことを書きたいか(細かい萌え含む)をネタ出ししていく

  4. 全体の流れを決めて、プロットにしていく

  5. 草稿を書く

  6. 清書する

  7. 推敲・校正する

  8. 組版にして脱稿

今回は「3.ネタ出しをする」の話。なんと、まだプロットにたどりつけません!!いつになったらたどりつけるのか?!ここがファンフィクションの難しいところ。AIは…元ネタを見ていないので……。(超有名作品なら大筋は理解していると思われるが、解釈は持たない)まあメイキング的に楽しんでください。

◆今回使ったGPTsも、前回と同じ。

①背景情報を詰める

「大人になった自カプが温泉旅行に行く話」で、「受けの「ごめん」が「ありがとう」に変わる」のが勝利条件。

わかりやすいように「勝利」と書いているけれど、べつにそのための対立や深い葛藤はない。ベースは「何も起きない話」だから。ささやかな出来事の積み重ねの結果、「これまでなら「ごめん」と言ったかもしれない場面で「ありがとう」が出れば、いいなあ…」くらいのぼんやりした感じ。

あとここまでの状態で「どこか遠出したいという話になり、忙しい受けを癒すため攻めが温泉を選ぶ」「受けが忙しいので「どこか遠くに行きたい…」と愚痴り(攻めに愚痴れるのもちょっと成長?)攻めが「じゃあ行こう」と決めて、行き先も決めてくれて…」みたいなイメージをしていた。

ファンフィクションとはいえ、わたしは長い話を書くときに「なんとなく大人になってるっぽい」というぼんやり設定ではなにも書けないため、具体的な「年齢感」「普段の現状」「関係性」をきちんと決めていく。

大人って、どれくらい大人?元作品のふたりは高校生だけど、どういう進路?どこに住んでいる?周りとの関係は?どういう日々を過ごす中での遠出?そして重要な、行き先は?といったところ。

そのあたりの悩み・考えていることをGPTに投げると、現状の課題と進める順番、そのための案を出してくれた。

いま、あなたが抱えている課題を整理すると:

【1】背景がまだ曖昧で、“書き出せない”

→ キャラの現在地(大学? 社会人?)や生活感を掴めていないと、台詞や動作の説得力に不安が出てくる

【2】時間がない!

→ 4/14の〆切が見えているので、スピードと完成度の両立が急務(※補足 この時点で3/28)

【3】でもクオリティは絶対落としたくない!

→ 自カプ2人の“文脈”を丁寧に活かした、しみじみ沁みる物語にしたい

【最初に確認したい方針】

攻めと受けの現在の年齢・立場(どこまで確定させるか)

(中略)

【A案】設定を「大学6年生 or 医学生(研修医直前)」にする

(中略)

【B案】2人とも社会人になっているパターン

(中略)

どちらでも対応できますが、A案の「学生と社会人のはざま」のほうが:

「大人びたようで、まだ揺れている受け」

「昔から変わらない強さと優しさで支える攻め」

…という構造が活かしやすいので、個人的にはA案推しです。

(後略)

補足ですが、この自カプの受けは外科医の息子で学年主席のため、おそらく医者の道に進むであろう共通認識を持たれている…ということも先に伝えています。

②やっぱ覚えてないじゃん!が発覚

①の提案により受けは医学部6年生(現役進学)で、実習の合間に空き期間ができたこと、季節感は本を発行する時期でもある春~初夏にすること(そのあたりならぎりぎり空き期間ができても不自然ではない)、攻めは社会人2年目と決まる。

しかし攻めの社会人2年目=無難に一般企業就職は、違うかも…という違和感が出てくる。GPTの提案も都内の一般企業に勤めていて…といったものだったが、「地元(元作品のモデル地は長野)に戻って、競技を教える立場になったりしてるかも?わかんなくなってきた!!」という嘆きをそのまま伝える。それくらいラフにやり取りしてます。その流れで提案されたのが以下。

【攻めらしい進路案・3つの選択肢】

A案|一般企業に勤めている(仮住まい感あり)

(中略)

→今後、指導や地元への還元に進む布石を残せる選択肢。

「受けが医者として忙しくなる中、自分も“もうひとつの人生”を考えるタイミングが来る」みたいなドラマも含められます。

B案|地元に戻って非常勤講師/競技指導者として活動

(中略)

→職業的には不安定だけど、“攻めらしさ”ではいちばん説得力がある選択肢。

安定ではなく“居場所”を選ぶ人っぽさがある。

しかもこの道だと、温泉旅行は受けのほうから「少し離れたい」と言い出して、攻めがうまく拾ってくれたという形がより自然。

C案|フリーター/非正規的な形で働きながら競技の道を模索中

(中略)

→ちょっと尖った設定だけど、“競技しかない攻め”ならこれはリアルにあり。

ただし、読者に不安を与えすぎないように描くにはちょっとした工夫が必要。

いまの物語構造でいちばん自然なのは:

B案 or A案(競技を軸にした仕事 or 一般企業だけど競技と関わってる)のどちらかかなと思います!

(中略)

攻めの現在地、「まだ過渡期だけど、競技と共に生きることはもう決めてる」くらいが一番攻めっぽくて、この温泉旅行にもぴったりな空気感になりますよ。

(後略)

非常勤講師、有りすぎる………!!!

と思って即決したのはいいものの、そのあと出力してきた「それならこんなエピソードも入れられますよ」と提案された内容がいっそのこと笑えるくらいキャラ解釈違い。(置き換えが難しいのでキャラ名そのままにします)

(一部の引用と、ツッコミ)

2. ちょっとした“将来”の話を静かに

湊「たまにマサさんに“あの神社継げば?”とか言われるけどな」(※言われない)

静弥「悪くないんじゃないの。神主の湊」(※絶対言わない)

湊「いやぁ俺、神様っぽくねーだろ。静弥のほうがそれっぽい」(※絶対言わない)

静弥「俺は神経質すぎて無理」(※一人称が違う)

湊「……じゃあお前が医者で、俺が神主で、バランス取れてるな」(※バランス取れてないしお前とか言わない)

・お互いに笑い合うけど、ほんのすこし、未来の輪郭をなぞっている

……お前、覚えてないじゃん!!!誰?!?!口調からなにから違い過ぎる!!

冒頭にも書いたように、当然だけど「AIは元作品を知らない」ので、「自身のキャラ解釈をいかに把握してもらうか」が非常に大切。このあたり…前々回の原稿だとキャラの情報も渡しつつ感情の動きを詰めたのでそこまで大幅に逸れなかったんだけど、今回の原稿はとにかくトンチンカンな方向へ向かってしまった。

あーダメだ、やっぱこのスレッドでもキャラ解釈覚えてないんだ…となったけれど、先ほど要約してもらった経緯があったため、このスレッドで過去に語った内容をもう一度要約してもらおう!ということにした。

💡こんなときは

自分で振り返ってみて、最初の段階については「めっちゃめんどいことしてたな?!」と思った。

ある意味ここが、AI支援で小説を書く最大の「山場」かも。書き手が「自分の解釈」を明確に言語化しないと、AIは勝手に物語を整えてしまう。

短くてもキャラの公式情報・文脈(物語上の感情の動き)・解釈はあらかじめまとめておいたほうが今後楽かなと思います。

今回は「キャラの情報を詳細に共有しない」まま横着をしたのでめんどいことにもなったけど、結果として「キャラ解釈・関係性まとめ」をすぐどこにでも提出できるようになったので、これは必要な試行錯誤だったはず。そう、あとが楽になる!信じて!

※追記

「公式情報を渡す」といっても、公式のプロフィール文などをそのまま送るのは🆖です。「自分の口で人に説明するなら?」という観点で説明しましょう。

③キャラ解釈を言語化してまとめ、資料化する

ここに「キャラ解釈についてわたしが語り、GPTが受け止めて共感して「こういうことですよね」とまとめてくれた解釈一致語り/約1万5千文字」があります。(なんであるの?)それをコピペして再度AI Humanizerに投げ、資料用として「キャラ設定、関係性、解釈」を元作品の設定+創作視点でまとめてもらった。

これ全部読んでもらいたいくらいめちゃくちゃわかりやすい&わたしの自カプ解釈がよくまとまってる資料なんだけど、長いので一部だけ!これもキャラ名そのまま!

【4. 湊攻め×静弥受け:創作上のこだわりと意味】

  • この攻受は単なる好みではなく、関係性の延長線上にある「物語的な正解」。

  • 静弥にとって、湊を「抱く」という行為は、選びにくい。どこかで湊を「痛ませるかもしれない」という意識がある。

  • 湊は恋愛的な自覚に乏しく、愛情表現が非常に自然体。その自然さが静弥にとって「怖くない」「信じられるもの」となる。

  • 「静弥が受け」として愛や赦しを“受け入れる”ことで、ようやく「守るだけ」だった関係が解放へ向かう。

  • 湊からの愛情と肯定をまっすぐに“受け取ること”こそ、静弥が報われる姿。

【5. 書きたい湊静の世界観・テーマ】

  • 「何も起きないけど、感情が動く」日常が描きたい

  • 「運命や宿命」ではなく、「偶然と努力」で生まれた関係性

  • 湊の周囲にはマサさんや愁のような“与えられた特別”があるが、静弥の“特別”は選び、築いたもの

  • 静弥が“報われていく物語”としての湊静

  • 性別を超えて「愛」が存在する関係性。性愛や恋愛でなくても成り立つけれど、創作では「湊攻め×静弥受け」で描きたいという強いこだわりがある

左右固定強火思考の内容を送っているため、そのあたりもしっかりまとめてもらってますね。これを改めて投げてキャラ解釈を理解させる。ちなみに、GPTの回答が大幅ではないけどなんかズレてるな…というときは、最後に自分が送信したメッセージを「編集」して再送信しましょう。足りなかったなと思うことを追加してもいいし、なにも追加せず再送信しても新たな回答が生成されます。

これを投げたことで、GPTも「大人になったふたりはこういう関係性に変化していると理想的ですね!」と出力してきたものが以下。(一部・キャラ名そのまま)

◆ 湊静の関係性:今作で書くべき「進行形の愛」

・昔のように「守る⇆守られる」の一方通行ではなく、ふたりで“穏やかな現在”を作っているフェーズ。

・静弥が 「ごめん」ではなく「ありがとう」と言える瞬間を、今回の話の中核に据える。

・湊から「好きだ」と言われるよりも、湊の存在を信じて自分の意思でふれにいける静弥を書くと、最高に報われる。

ようやくキャラ解釈に一致した方向性になっている~!!かしこい!!とはいえ一緒に出力されたセリフの口調がどうしてもずれていたため、過去作品の会話部分だけ持ってきて改めて投げる。

これでやっっと先に進める!!ということで、ちゃんとGPTが理解しているかを確認するためにここまで決まっていること(二人の年齢感や季節感など)も含めてまとめてもらうよう依頼。出力された内容を確認し、問題ないことをたしかめてからようやく本格的なネタ出しへ…!!


前回からここまでのやりとり全体が「背景情報・地盤を固める」のに必要なフェーズだった…と思いたい。まあわたしは「キャラ解釈」をめちゃくちゃ重視してファンフィクションをするというか、解釈違いの内容を何度も生成されるとアレルギー反応を起こすので、ここまで詰めた。多少ずれてても物語を組める人はそのまま進めても問題ないかと。

「AIに手伝ってもらう」って「楽してそう」って思われるかもしれないけど、実際はめちゃくちゃ試行錯誤があって、自分の解釈を的確に言語化しないといけないし、AIに流されないように「そこは違う」というのにちゃんと気づいて説明しなきゃいけない。

でもこのあとのたたき台出力や、表現の相談は「めっちゃ助かる~!」ってなるので!

というわけで次回こそ、プロット作成まで進む!ついてきてくれてる人いるのかな?!わかんない!いるならありがとう!ゆるく楽しんでくださ~い👋

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なまえ・ジャンル:ふらみんちゃん(17)ところにより天瀬ちゃん おしゃべり大好きオタクです Amazonのリンクはアフィリエイト! bento.me/tndr215