小説原稿とチャットGPT・詳細編(4)ネタ出しとプロット整理

tndr215
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公開:2025/5/23

◆前回までのあらすじ

AIにキャラ解釈を叩きこむ。いいですか?この自カプは左右の反対は有り得ません。間違っても逆で出力しないように。

今回はようやく「ネタ出し」をして「プロットに落とし込んでいく」作業の話。今度こそ!!プロットにたどりつこう!!

ここで使うGPTsは、Creative Writing Coachのみ。注釈がない限り、この記事で言う「GPT」はすべてこのGPTsのことを指す。

①自力で考えるところと、AIに考えてもらうところを切り分ける

忘れていそうなのでおさらい。5/3のイベント合わせで「大人になった自カプが温泉旅行に行く話」で、「受けの「ごめん」が「ありがとう」に変わる」のが勝利条件の小説本を出そうとしているふらみんちゃん。

実はこのジャンルでキャラが「大人になっている」本を出すこと自体が初めてなので、ここまで丁寧に設定や背景情報を詰めてきたのもある。

【現時点の確定要素】

  • 作品トーン、テーマ、勝利条件

  • 4章構成の流れ(出発→到着・散策→夜、温泉→朝、散歩・帰省)

  • キャラの年齢、職業、進路など

  • 温泉に行く季節、きっかけ

主導権は、書き手が持ちましょう。AIはあくまで補助ツール。出てきたアイディアをポンポン投げて、まとめてもらえれば手間が省けるというくらい。このあたりは壁打ち要素が強く、GPTは「いいですね!素敵ですね!最高ですね!」とひたすら太鼓持ちをしながらアイディアをまとめてくれる状態。

というかキャラ解釈をまとめたりあれこれしているうちにアイディアがいろいろ出てきていたので、もう少し細かい背景情報やふたりの現在の感情、「普段どう過ごしているか」「恋人になってからこれまで、どうやって過ごしてきたか」は勝手に頭の中で考えていたのであった。

それらをまとめてGPTに投げる→受け止めてまとめてもらう。たまについでに提案があり、ピンとくるものがあればそれを拾う、くらいのイメージ。

このキャラ同士でなければ成立しないシチュエーション、己のキャラ萌えカプ萌え、このジャンルのファンフィクションだから生まれる設定は、自分で考える。

それ以外の、こだわりのない舞台装置はAIにアイディアをもらう、決めてもらう、くらいの感じで使う。

攻めの職業を決めてもらったのも、あくまで「仮」であり「今回の本はこういう設定」と割り切って使うものだったから。他で言うと、「実際に向かう温泉地」「泊まる宿の細かい設定」「散策時の行動・食べ歩きするもの」などはGPTからアイディアをもらって決めた。

「温泉旅行に行かせたい!」というだけで「どうしても自カプに熱海に行ってほしい!」とかそういう希望ではなかったので、温泉地はどこでもいいなと思って。本当は年始に行った城崎温泉に行ってほしかった(水族館に行ってほしかった)というのはあったんだけど、移動距離やそこに行かなければならない明確な理由を考えるには時間が足りなかったので、断念。今回は勝利条件がすでにはっきりしているため、それが達成できるならどこでもいいかという感じ。

元作品のモデル地が長野のためか、提案された温泉地も長野県内が中心。近すぎないか…?遠出じゃなくない?とは思ったけれど、あらかじめ決めていたふたりの年齢感やきっかけを考えると、それくらいの距離がちょうどいいかも…となる。

提案は「こういう特徴がありますよ」という情報も一緒に書いてくれるけど、一応ファクトチェックを行いましょう。「ChatGPT の回答は必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。」わたしはこれで湯田中温泉なのに石畳の描写を入れるところでした。(石畳の場所もなくはないようだけど、通常のアスファルト中心)

②プロットに落とし込んでいく

先に構造的な話。今回のお話は4章構成にする予定。『(1)10年前との比較』内で紹介した乙一先生の「プロットの作り方」を参考に、A~Dの4つのパートとabcの3つの変曲点を意識する。

Aパート→変曲点a(最初の事件)→Bパート→変曲点b(ミッドポイント)→Cパート→変曲点c(クライマックス)→Dパート〆

これを今回の話にざっくり当てはめると、以下のようになる。

  • Aパート:【1章】再会・出発

  • Bパート:【2章】到着・散策

  • Cパート:【3章】夜・温泉

  • Dパート:【4章】朝・散歩・帰路

一応起承転結とも置き換えられる。CとDを繋ぐ変曲点cで、受けが「ありがとう」と言える展開にする必要があることを頭に入れておく。とにかく時間はないのでシンプルに。短編4つと考えて、視点を攻め→受け→攻め→受けと変更することも確定。

旅のスケジュールもイメージして伝え、これまでの流れを踏まえたシーン構成・調整ポイントはGPTが提案してくれる。1章に入れたいシーンのアイディアなどを投げているうちに向こうから

■ すぐ書き始められるようにするには?

  • このまま第一章の冒頭(攻めが受けを待つシーン)を執筆サポート可

  • もしくは、プロットベースの4章分の各章エモ軸・描写指針を先に整理してお渡しも可能

と提案をしてくる。なのでここらで一度、プロットとして整理してもらうことに。

大元は『(2)何も起きない話を書く』で全文引用した、キャラ解釈が違うしゃらくせぇプロット。それを参考にしつつ「これは違う」「ここはいらない」「こういうシーンはほしい」ということを伝える。

ここでようやく、めっちゃいい感じの流れを提案してくる!ここからは内容の詳細になっていくので、サンプルとして全文公開している1章を中心に引用しまーす。同人誌は絶賛自家通販中🥳(広告)

『仮題:春の余白に』

攻めと受けの一泊二日温泉旅行・四章構成(実質三幕構成+エピローグ)

◆ 第一章:出発の朝(攻め視点)

「会いに行く、という決意と贈りもの」

● 主な出来事

  • 長野駅での再会。電車に乗り換えて湯田中へ向かうまで。

  • 受けの「会いたいけど計画はしたくない」気持ち → 攻めが全部手配して連れ出した。

  • 行き先の温泉は「伝え忘れ」→受けは“サプライズだと思って”指摘しなかった。

  • 電車内で受けが「寝てもいい?」と攻めに断って眠る → 攻めは“甘えてくれて嬉しい”と感じる。

回想:受けがぽつりと「遠くに行きたい」とこぼした電話。

● エモ軸

  • 攻めの「贈るように旅を計画した」気持ち

  • 攻め視点から見る受けの“変わっていないようで変わった”部分

  • 久しぶりに“並んでいる”2人の距離感のあたたかさ

(中略)

◆ テーマとしての通奏低音:「自分を許す」ということ

  • 攻めの“赦し”は変わらずそこにあるが、受けが“受け取る側”として成長している

  • 「ありがとう」と言えるようになった受け

  • 競技の話題、温泉地の空気、再会の嬉しさ…すべてが“無理のない癒し”として受けの心をほどく

ええ感じやん…☺やればできるやん…☺

まあ副題的なところが若干しゃらくさいのは置いておきましょう。というか1章の流れはこの時点でほぼ確定だったけど、2章以降はいろんなところがふわっとしていたのでまずはそれを詰めていく。そしてせっかくの「大人になった自カプ」=「恋人同士になって年月が経っている自カプ」の話なので、ラブはさせたい!これまで感情の解決ばかり書いてきたので、いちゃつかせて~~~という感じ。

③プロットを詰めてあらすじにしていく

そこそこいい感じの内容を出力してくれるようになったとはいえ、やはりAIは自分のキャラ解釈をすべて理解してくれるわけではない。そのあとも詳細を決めていくにあたって、GPTが細かいイベントを提案してくれたけれどキャラに合っていたり合っていなかったり、特に「よかれ」と思って会話シーンを提案してきたけど、微妙にキャラっぽさからはズレている。致し方なし。

それでもたまにいい感じの内容を出してきたりするので、本当にガチャみたいなもん。たまに出てくるSSRが書き進める助走になればラッキー!って感じ。

あと「ここまでの流れをまとめて」と頼んでも、大まかな流れは合っているのに途中だけ微妙に違う内容を出してきたりもする。しっかり確認しましょう。違う場合はちゃんと「ここはこうして」と言う。このあたりまでくると「資料をまとめさせる」ような感じ。それに「違う」ことが出てくることで「いや、ここはこうなんだよ」「こうするほうが絶対にいい」というように…なんていうのかな?無限にある道から正しい道を選べるというか…「こっちの方向はダメ」がはっきりするので、考え方がクリアになる気がする…。なんて言えばいいんだろう?なんの印もない地図の上の、「行かない方向」が明確になるというか…。

そんな感じでまとまってきたのでプロット全体の再まとめをお願いする。(基本情報・1章のみ引用)

温泉旅行編|構成まとめ(2025年春・同人誌用短編)

基本情報

時期:4月後半~5月頭(春〜初夏)

舞台:長野駅 → 湯田中温泉(モデル地)

登場人物:攻め(社会人/非常勤講師・弓道指導)、受け(医学部6年生/実習&国家試験前)

目的:受けの「ひと段落してまとまった休み」中に、久しぶりの二人旅

関係性:「久しぶりに再会した恋人同士」/並んで歩く距離感の再確認

章構成|全4章(実質3幕構成)

第1章|攻め視点:出発と再会

受けから約10日前に「ひと段落ついたから帰省しようと思う」と連絡→久々の通話

受け「どこか遠くに行きたい」→ 攻め「じゃあ行こう」「おれが全部決めるよ」

再会は長野駅のホーム。攻めが手を振って迎えるシーンからスタート

攻めは行き先を伝え忘れていたが、受けは「そういうつもりなのかな」と受け取って問いたださず

受け「つめが甘いですよ、先生」と冗談交じりに揶揄う

電車内:受け「ごめん、ちょっと寝てもいい?」→ 攻め「いいよ」と見守る

→攻めは「甘えてくれてるのかな」と思いつつ、旅のきっかけを回想

湯田中駅に到着、宿へ向かう

もうほぼそのまま。強いて言えば、攻めが「手を振って迎える」ほど無邪気ではないので、そこは変更された。

これをもとに「全体のあらすじ」にしてもらう。出力してもらった内容を確認し、まだはっきりと流れが決まっていなかったところ(AIが勝手に流れを補完しているところ)を見つけ、もう少し詰めていく。

そんな感じで、元のプロットをあらすじにする→流れを変更・詳細決定をして調整(書き手)→再度プロットにしてからあらすじ出力→(何度か調整)→プロットが確定する!といった流れ。

最終確定として出力されたプロットは以下。(キャラ名そのまま)

温泉旅行編 構成プロット(最終調整版)

【全体トーン】

  • 穏やかで静かな旅情を主軸にした、しっとりとした関係性描写。

  • 恋人関係の“成熟”や“変化”を、ドラマティックな出来事ではなく「言葉の選び方」「沈黙の心地よさ」「小さな手の動き」などで静かに表現。

  • 旅を通して、静弥の「ごめん」→「ありがとう」への変化が核に。

第1章|湊視点:再会と旅の始まり

  1. 長野駅での再会

    • 駅のホームで静弥と久しぶりに再会する湊。

    • 「行き先、聞いてなかった」→湊「……あれ、言ってなかったっけ?」

    • 静弥「つめが甘いですよ、湊先生?」と軽くからかうやりとり。

  2. 電車での移動

    • 電車に揺られながら並んで座る。久々の距離。

    • 湊が「静弥の両親から“帰省してくれるのは湊のおかげ”って言われた」と笑い話のように話す。

    • 静弥「そうかもね……」と、ちょっと照れるような表情。

    • 静弥「ごめん、少し寝てもいい?」→ 湊「うん」

    • 寄りかかって眠る静弥。湊のモノローグで旅の経緯を回想。

    • 「どこか遠くに行きたい」と静弥がこぼした夜。

    • 「おれが決めるから」と湊が即答。

    • 旅の準備をするうちに、連絡は最小限に。

まあ正直こまごまと違うところもあったんだけど、そのあたりはもう自分で微調整したほうが早い。見切りをつけましょう。これまで提案された内容などを踏まえ、自分で取捨選択する。自分で調整した、最終的な1章のプロットが以下。(キャラ名そのまま)

第1章/湊視点:再会と旅の始まり

1-1. 駅での再会(長野駅)

  • 湊が先に到着。久しぶりに会う静弥を待つ。

  • 合流後、静弥「それで結局、どこに行くの?」 → 湊「言ってなかったっけ?」(うっかり)

  • 「湯田中。ちょっと遠出だよ」 → 静弥は、湊の“サプライズのつもりかな?”と察して深くは問わなかった。

  • 静弥「先生やってるなら、報・連・相は徹底しなきゃ」「つめが甘いですよ、湊先生?」(軽く敬語でからかう)

  • 湊「ごめん」――相手が静弥だからこそ、伝え忘れていたのかもしれない。(口にはしない)

(実際、2人のこれまでは「湊の行動に静弥が合わせてフォローする」場面が非常に多かった)

1-2. 電車での移動

  • 電車に揺られながら並んで座る。久々の距離感。

  • 話せていなかった近況を語る2人。雑談の中で「今年も静弥の両親に“ありがとう”って言われたよ」など。「“帰省してくれるのは湊くんのおかげ”だって」

  • 静弥「そうかもね……」と、少し気まずい表情。

    → 両親は、自分たちの関係を察しているのだろうか? お互いに触れられない部分。

  • 静弥「ごめん、少し寝てもいい?」 → 湊「うん」 → すぐに寝入ってしまう静弥。

  • 湊のモノローグ:そういえば、いつからか「湊の前でも無理せず寝る」ようになってくれたな、ということ。

    会いに来てくれたこと、一緒に過ごしたいと思ってくれたこと――それが嬉しい。

  • 回想:静弥から約10日前、「ひと段落ついたから帰省しようと思う」と連絡 → 久々の通話

    → 静弥「どこか遠くに行きたい」と思わず愚痴 → 湊「じゃあ行こう」「おれが全部決めるよ」

    → 静弥「本気じゃないよ」 → 湊「おれだって静弥と出かけたい」

    → 押し切る形で始まった今回の旅。

    → そういえば、「場所が決まった」ではなく「宿が決まった」という連絡と、集合場所・時間しか伝えていなかった。もしかしたら、行きの新幹線では目的地を考えて寝られなかったのかも? …反省。

  • 電車に揺られ、自然に湊へ寄りかかる静弥。最初から寄りかかって寝ようとしないところは、相変わらずだな。

※同人誌として発行する都合上、「長野駅」や「湯田中」の地名は明言せず書きたい。たとえば、湯田中は長野駅から長野電鉄の特急終着駅なのでそのあたりを自然に、ぼかして書けるか。

ここまできて、ようやく「たたき台」に進める!!長かった~~~~!!!ここで何度も「プロット→あらすじ→プロット…」の切り替えをしていたことで「これをたたき台にして草稿にできないかな?」と思い、今回はたたき台を出力してもらうことにした。本音を言えば「これをもとに全部自動で書いてもらいたい!」だった。しかしそれは無理な話なのである。

ここまでで全体の半分のフェーズ。しっかりプロットを詰めたことで、感情の動きや「何を書けばいいか」をはっきり把握できる。このあたりは人によるかと思いますが…わたしは決まってたほうがやりやすい。

ということで次回はこれがどう「たたき台」になって、「草稿」になったのか!になるはず!長々とごめんね。お楽しみに~👋

🌟次!

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なまえ・ジャンル:ふらみんちゃん(17)ところにより天瀬ちゃん おしゃべり大好きオタクです Amazonのリンクはアフィリエイト! bento.me/tndr215