AIで架空のブラックメタルバンドをこしらえて、自分の書いた文章「桃太郎 ver.n」をコンセプトアルバムにしたわけで。音源こそ無いけど。無いんかい。今なら別の生成AIで音楽も作れるかもしれんね。
そして何と、AIで造形した「桃太郎 ver.n」の作者へのインタビューが実現しました。
画像生成に必要だと思われる年齢性別身長体重容姿の特徴等の情報は与えていませんが、わたしの興味あることのみを入力して「画像形成ができる程度に、作者の特徴を記述せよ」としたのです。そのうえで「インタビューしてみて」としました。もうリアルなわたしは必要ないかもしれません。おっとろしなぁ。しかし、わけわからん大阪弁で亜空間を現出させないあたりに、AIの限界を感じます。まことにありがとうございました。
全6話。
今回のおまけ
新譜発売から1年後の売上げと戦略(レコード会社資料)
Iron Veil Magazine 特別版インタビュー:『桃太郎 ver.n』作者が語る、Nattfrostens Arvの衝撃
インタビュアー:Iron Veil Magazine 記者 マティアス・ヨハンソン
日時:2027年4月25日 場所:東京、中目黒のカフェでの対面インタビュー
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中目黒での待ち合わせは、午後2時だった。インタビューの場所として指定されたカフェは、目黒川から路地をはいったところにある小さな店で、名前は「Riverside Brew」と書かれた看板が目印だった。
事前に送られていた画像から、窓際の席に座っている男性が『桃太郎 ver.n』の作者だと分かった。40代半ばくらいの痩せ型の男性で、黒いセミロングヘアを後ろで軽く束ね、顔立ちは穏やかで鋭い目つきが印象的だが、どこか思索的な雰囲気を漂わせていた。静かな知性と落ち着いた情熱が共存する人物だ。
彼の席に近づき、声をかけた。「こんにちは、Iron Veil Magazineのマティアス・ヨハンソンです。お会いできて光栄です」と自己紹介すると、彼は穏やかな笑みを浮かべて立ち上がり、「こんにちは、マティアス。こちらこそよろしく。遠くからありがとう」と丁寧に答えてくれた。声は落ち着いていて、言葉を選ぶような話し方が印象的だった。握手を交わし、互いに席に着いた。彼の手は細く、ギターやベースを弾くのに適した手つきだと感じた。さあ、始めよう。
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マティアス:今日はお時間をいただきありがとうございます。Nattfrostens Arvのアルバム『Hvem Skapte Onden? / 悪を生み出したのは誰か?』が、あなたの作品『桃太郎 ver.n』を原案としてリリースされてから1年が経とうとしています。彼らの音楽に対するあなたの率直な感想からお聞きしたいのですが、いかがでしたか?
作者:こちらこそありがとう、マティアス。まず、正直に言って驚いたね。私の物語をブラックメタルの枠組みで再構築するなんて想像していなかったし。彼らが掬い上げた物語のテーマ —正義と悪の曖昧さ— を見事に音で表現していると感じた。売上や再生数がどうであれ、完成度はまちがいなく高い。
マティアス:具体的には、どの部分が特に印象的でしたか? 彼らの解釈や音楽的なアプローチについて、詳しく教えていただけますか?
作者:彼らが物語を、正義の相対性や行為の無意味さという哲学的な視点で再解釈した点が素晴らしいと思った。私の『桃太郎 ver.n』では、正義と悪の境界を曖昧に描いたんだけど、彼らはそれをさらに掘り下げて、音でその葛藤を表現してる。例えば『Rapport i Tomhet』は、虚無感や内省を音で体現していて、聴いていて「なるほど、こういう表現もあるのか」と唸ったよ。Eirikのトレモロリフやグロウルも、物語の暗い面を強調するのにぴったりだった。あと、『Skygge i Stillhet』の繊細な音の選び方はよいと思う。
マティアス:あなた自身、ブラックメタルの長年のファンで、ギターやベース、ドラムもたしなむと伺いました。Nattfrostens Arvの技術的な面についてはどう感じましたか?
作者:彼らの技術は本当に高いね。ブラックメタルの攻撃性と、クラシックやジャズの要素を融合させる器用さがある。Eirikのギターリフは、90年代のUlver、初期Emperor、Naglfar、あるいはDark Funeralの直線的なスタイルを彷彿とさせるけど、そこに新しい解釈があって独自の色が出てる。ブラックメタルはギターミュージックになりがちなので上手いベースプレイヤーがあまりいない印象なんだけど、Larsはルート音を出すだけじゃなく、曲の流れを表現するセンスがある。Ingridのドラムは、リズムの引き出しが多く、構成力が素晴らしい。ブラックメタルはリズムが単調になりがちだけど、彼女のリズムパターンは曲に深みを与えてるよ。全体として、3人のバランスが絶妙だと思う。
マティアス:アルバムがリリースされてから、彼らは欧州、日本、北欧と大規模なツアーを敢行しました。日本の公演では、あなたの物語にインスパイアされた楽曲がファンの心を掴んだようですが、その反応についてはどう思いますか?
作者:すなおに嬉しいね。ツアーの東京公演と大阪公演の話をメンバーから聞いたけど、日本のリスナーは音楽の裏にある物語や感情を深く感じ取る傾向があるみたいだから、Nattfrostens Arvのアプローチが響いたんだと思う。桃太郎という身近なモチーフを、ブラックメタルという異文化のフィルターを通して再体験できたことが新鮮だったんじゃないかな。
マティアス:確かに、日本のファンの反応は特別なものだったようです。アルバム全体を通して、あなたの物語が彼らの音楽にどのような影響を与えたと感じますか? また、その影響がツアーやファンの反応にどう繋がったと思いますか?
作者:そもそも正義や悪の曖昧さというテーマは、ブラックメタルというジャンルと相性が良い。そこにたまたま私の物語が、彼らにきっかけを与えたんだと思う。Nattfrostens Arvはそれを最大限に活かしてくれた。ファンがそのテーマに共感してライブで感情を共有できたのは、バンドが彼らなりに物語の本質を捉えたからだろうけど、やはり曲がいいからだろう。Nattfrostens Arvの音楽を通じて、私の物語が新たな命を得たのはうれしいね。彼らの次のプロジェクトも楽しみにしている。
マティアス:さらに踏み込んで、文学と音楽という異なる表現形態についてお聞きしたいと思います。あなたの物語が音楽として再解釈されたこの経験を通じて、文学と音楽の表現の違いについてどのように感じましたか?
作者:良い質問だね。文学と音楽は、確かに表現の方法が大きく異なると思う。文学は言葉を通じて時間をかけて読者の想像力を刺激するものだ。『桃太郎 ver.n』では、物語の前半でコミカルな描写や少し冗長な展開を意図的に取り入れたんだ。それは、後半の重いテーマ—正義と悪の曖昧さや行為の無意味さ—とのコントラストを作るためだった。読者はページをめくる速度やリズムを自分で調整しながら、頭の中で物語を構築していく。その過程で、細かなニュアンスや感情の機微を感じ取っていくんだ。
マティアス:なるほど、文学では読者が時間をかけて物語を体験するわけですね。一方、音楽ではどうでしょう? Nattfrostens Arvがあなたの物語を音で表現したことで、どのような違いを感じましたか?
作者:音楽は、文学とは違って時間的な流れが決まっている。曲のリズムやテンポ、音の配置がリスナーを一つの流れに導くんだ。Nattfrostens Arvのアルバムを聴いて感じたのは、彼らが物語の感情的な本質を抽出して、音で一瞬にして伝える力だ。文学だと何ページもかけて描くような感情の爆発を、彼らは数分でリスナーに感じさせる。それは音楽ならではの即時性だと思う。一方で、静かな曲では文学の余韻に近いものを感じたけど、音楽の場合はその余韻も時間的に限られている。リスナーがその場で感じるしかないんだ。
マティアス:文学の時間の柔軟性と、音楽の即時性が大きな違いだと。Nattfrostens Arvの解釈では、物語のコミカルな部分があまり反映されていませんでしたが、その点についてはどう思いますか?
作者:彼らの解釈は、物語の重いテーマにフォーカスしたものだったね。確かに、前半の描写やコミカルな部分は、ブラックメタルのトーンには合わないかもしれない。でも、物語全体で見れば、その軽さがあるからこそ後半の重さが際立つんだ。彼らがそこを省いたのはブラックメタルというジャンルで表現する上での選択だと思うし、当然尊重すべきだ。音楽では、文学のような時間軸でコントラストを構築するのが難しい。だから、彼らは音の強弱やリズムの変化でコントラストを作り出していた。激しさと静けさの対比は、文学のコントラストを別の形で表現したものだと感じたよ。
マティアス:あなた自身、ブラックメタルの長年のファンであり、楽器も演奏されます。音楽と文学の表現の違いを感じながら、今回の経験で何か新たな気づきはありましたか?
作者:今回の経験を通じて、表現形態の違いが持つ可能性に改めて気づかされた。文学は読者の想像力に委ねる部分が大きいけれど、音楽は直接的に感情を揺さぶる力がある。Nattfrostens Arvによって、物語のテーマが新たな命を得たような感覚があったんだ。彼らの音楽を聴いて、自分が書いた物語を別の角度から見直すきっかけにもなった。例えば、物語の虚無的な部分が彼らの音でこんなにも鮮やかに表現されるなんて、書いてる時には想像もできなかった。文学と音楽、それぞれにしかない特徴があって、それが交わることで新しい価値が生まれる。
マティアス:素晴らしい気づきですね。最後に、この経験があなたの今後の創作にどのような影響を与えそうですか?
作者:今回の経験は、表現の多様性について考える良い機会になった。音楽的な表現に挑戦してみるのもおもしろいだろうね。文学がブラックメタルの影響を受けつつ、自分なりの音で物語を表現するのも興味深いと思ってるよ。ディストーションギターとブラストビートは欠かせないな(笑)。
マティアス:今後の創作がさらに楽しみですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
作者:こちらこそ、ありがとう。
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このインタビューは、私にとって非常に印象深いものとなった。まず、作者のNattfrostens Arvへの評価に驚かされた。彼はブラックメタルの長年のファンであり、自身も楽器をたしなむ人物だが、単なるファンとしての感想を超えて、バンドの音楽的アプローチや解釈の深さを的確に分析していた。
後半で、文学と音楽の表現の違いについて語った部分が特に興味深かった。作者は、文学が読者の想像力に委ねる柔軟な時間の流れを持つ一方、音楽が即時性を通じて感情を直接的に伝える点を挙げ、両者の特性を冷静に比較していた。『桃太郎 ver.n』のコミカルな前半がブラックメタルのトーンに合わないと感じつつもNattfrostens Arvの解釈を尊重し、彼ら独自の音楽を作り出した点を高く評価していた。文学と音楽という異なる表現形態が交差する瞬間の可能性と、物語と音楽の本質に焦点を当てた回答は、ジャーナリストとして引き出しがいがあった。