前回の『KING'S ROAD』のときも言ったが、なぜ無料で読めるんだ。
寺嶋裕二先生の新作野球漫画(読切)。予告の時点で「早乙女慎一郎…?」と思った人〜!は〜い!🙋♀️前回もそうだったし先生が描くこの手のタイプの顔、髪型、もう全部早乙女慎一郎に見える。助けてくれ。ダイヤ本編でももっと描くつもりだったんだろ、この男…!だからあの顔であの髪型だったんだろ…?!もっと教えてくれ、早乙女慎一郎のことを!!!たのむ〜〜〜!!!
取り乱しました。とにかく寺嶋先生の「陰」の趣味が強めに出ており、ありがたかった。「青春」「思春期・少年期」「憧れ」というきらめく光の中に差す、「大人からの抑圧」「子供であるままならなさ」という影…。上手すぎる……ッ!!!!『ダイヤのA』はなんやかんや週刊少年マガジンで連載している「少年漫画」「王道高校野球漫画」で、先生も主に「野球少年」を読者として想定しているため、主人公の沢村さんは基本おバカで明るいわけなのだが、青年誌になるとそのあたりの縛りが解けるのかめちゃくちゃ「陰」が強くなる。
まず漫画そのものの感想から書くか。関東地方の、とある公立高校。そこそこ強い、とある野球部に入部した2人の「青春」は……。という話。
本当に36ページ?!と驚くほど感情の密度が高い。情報の取捨選択に過不足がない。何度読んでも泣いてしまう。
確信歩きの見開きページは、くぅ〜っ!!っと声が出るほどかっこよくて、寺嶋先生の野球漫画だ!!とゾクゾクした。これ、これっすわ……!!めっちゃかっこいい。最高。案の定先生も「見開きのページは雑誌で見てもらいたい」って言ってるし。やっぱこの、野球の動きにおいて印象的な、かっこいい一瞬を捉えて漫画に落とし込むのが上手すぎる。
歩夢の兄ちゃんがリーゼントなのは爆笑したが…😂なんで沢村父といい、メインキャラの親族に必ずリーゼントがいるんだよ!!😂😂謎のこだわりすぎる。リーゼントが好きすぎる、先生が。というか「大人になってもリーゼントをやめない男」が好きなのか…?ということは梅ちゃんも大人になってもリーゼントでしょうね…。
この漫画、「そこそこ強い」っていう設定が、地獄として絶妙なリアリティを持っている。わたしは『僕はまだ野球を知らない』を読んでいるので、こういうのに詳しいんですよ。そこそこ強いなら普段2〜3回戦くらいは勝ち進んでて、最高で準決勝進出くらいの実績はあって、それなりに周りからの支援とか後援会とかもあったりする学校なんじゃなかろうか。だからこそ監督は過去の成功体験から抜け出さず、「自分に従わせる野球」を強要するし、それを周りの誰も指摘しない。犠牲になるのは子供たちばかり。こんな時でも保身に走る監督の「箝口令」を律儀に守るしかない子供の無力さよ…。
クソがよ……ッ!!わたしはこういうのが大っ嫌いなんだよ……ッ!!😬😬😬 (余談・ハシ監という呼称が、某1000年に1人の元アイドルと重ねる小さな抵抗(遊び心?)が見え、そこは良い)
そして最後に、2人が「選手」としてではなく「バイトでお金を貯めて」向かった甲子園球場で観る試合のチームが、鵜久森ってのが…。鵜久森というチーム、寺嶋先生の中でかなり「光」である。紐解けばチームができるまでに「影」もあるが…特に梅宮聖一は「完璧な青春」を手に入れていると思われる。ダイヤのキャラの中でも。今後は大きな挫折を味わうことはなく、南朋くんとお互いよきパートナーとして生きていくのだろう…。(BLの話でもそうじゃなくても)
「ただ、ホームランを打ちたかった」
このシンプルなセリフを、こんなにも切実に描ける人がどれだけいるのだろう。もう二度と、この荒本誠というダイヤの原石が磨かれることはない。そして、同じようにどれだけの才能が、このように大人に閉じ込められた鳥籠の中で息絶えていったのだろう。
野球漫画で『バードケージ』というタイトルなので、予告時点で不穏な感じはしていた。前向きに「鳥籠をぶっ壊す」系の話かな?と思っていたけど、逃げられただけで壊せはしなかった。でもラストは、逃げ出した先に広がる空は君たちのものだ…という話だった。誠と歩夢の2人は逃げ出せたけど、逃げられなかった彼らのことも考えてしまう。
危うく美談・感動消費として終わらせてしまいそうな話だと思うのだが、大人しそうな歩夢も一緒に中指を立てた写真を撮って終わるのが、よかった。なんとなくダイヤactⅡで稲実戦の決着がついた304話のサブタイトルが「くそったれの世界」だったことが思い起こされた。そのときの沢村さんの「くそったれ」という気持ちとは、異なる種類の感情だけど…。寺嶋先生は本当に人が抱く「敗北感」と「それをどう乗り越えるか」を魅力的に描いてくださる…。
この世はままならず、クソみたいな大人もいて、鳥籠をぶっ壊すこともできなかったけど、一緒に中指を立ててくれる友達はいる。甲子園だけが人生でもない。どこまでも飛んでいけるんだ、ざまあ見ろ!という解釈をした、わたしは。めちゃくちゃ痛くて青春で、切なくて苦しくて、でもまだ翼が残っていて、よかった。いいもの読ませていただきました…という感想が正しい。『KING'S ROAD』のときもそう感じた。
以下、ダイヤの話 ※原画展パンフネタバレあり
連載終了後、朝日新聞のインタビューで寺嶋先生は「ダイヤのAの世界は自分の理想だから、リアルではない」という話はされていた。そのあたりが反映されるとこんな感じなんだろうなと。actⅡでは奥村・瀬戸の過去にもイヤな指導者のエピソードがあったけど、あれはかなり…マイルドな描写だな…と感じていたので。
これは外伝の鵜久森🆚帝東戦の幕切れがドラマチックすぎる梅宮聖一のサヨナラホームラン、かつ投手としてのエゴの塊な向井太陽が最後の選択だけ、初めて自分を理解してくれたと感じている捕手・乾憲剛のサインに殉じて(比喩)しまったというストーリーだったときに考えたこと。
というのも、マガポケのコメント欄などで「鵜久森が好きだから勝たせたんだろ」みたいな短絡的な意見を見てしまったから。まぁ…そう感じるのもわからなくはありませんが…ダイヤ「らしからぬ」ドラマチックな幕切れだったのはわかるし…。
そもそも、無印時代の稲実戦で青道はあのサヨナラ負けを喫しているため、もうそういう「甲子園に行けるか、行けないか」という生死を分けるような試合でサヨナラ勝ち、負けのドラマチックさは描けないと思うんだよね。漫画なので。23年WBCの準決勝で絶不調だった村上のサヨナラ打→決勝の9回に投手大谷が盟友トラウトと対戦で試合終了なんて展開、普通は漫画じゃボツなので…。だから描くとしたら青道以外の試合になるし、actⅡの薬師🆚市大三高もサヨナラだったわけで。
でも、ちょっと待って!先生は本当に「鵜久森がお気に入りで、贔屓」だからこんな展開にしたのか?!勝者がいれば、敗者がいる。その「敗者」となる理由が「投手としてかなり自己主張の強い向井太陽が、最後は信頼しすぎた捕手のサインに従ったから」なのは、どう見てますか?!そこまで見えてない?!あ、だからそういう短絡的な…さようで……。
これは「事実」の話ですが、原画展のパンフレットで和田さんと対談した寺嶋先生は、はっきりと「向井太陽の選択によって起きる悲哀やドラマを描きたかった」と言ってるんですよ。はい。そういうことです。
「好き」の中にも陰と陽がある気がする…というのは自分の中の好みのキャラの分類として、以前考えていた。「好き」というのは画一的ではないので。わたしは特に「劣等感・コンプレックス」を強く抱いているがそれに抗おうとするキャラクターを好きになりやすく、これは「陰」側の好みである。でも、底抜けに明るい、ポジティブな大型犬のようなキャラも好きだったりする。これが「陽」側。単純な「陰キャ・陽キャ」というわけではなく…。好みとしての陰陽☯️なのかも?というのを考えていた。
ダイヤのキャラでわかりやすく言うと、結城哲也は「陽」で、伊佐敷純は「陰」です。
同じく朝日新聞のインタビューでは「負ける人を描きたい」とも言っていたので、『ダイヤのA』のキャラたちの「負け」について、わたしはあまりマイナスに捉えていない。いや、悔しいが。わたしの感情として、推しチーム(稲実)が負けたのは原画展で改めて見ても新鮮に悔しかったが。でも、何度も話しているようにダイヤのAは「負けに不思議の負けなし」を徹底しているところが好きなんですわ、わたしは。
今後も先生が描きたいものを描いてほしい。そしてもし、もしその気があれば……成宮鳴番外編をやってくれ〜〜〜!!!頼む〜〜〜〜〜!!!命が助かると思って!!!!!言霊として定期的に言っていこう。成宮鳴番外編がありますように!早乙女慎一郎のCVが岩崎諒太になりますように!!