ブローガスト4本目。今回から分かりやすくするために記事数でカウントすることにした。前回の続きです。現在に追いついたので、映画の会まとめは一旦終わりです。合計2万字くらいになった。お付き合いいただきありがとうございました。
以降のブローガスト期間は、ブローガストらしく日記やピラティスのことだったり、トルコ旅行、Blueskyのお題箱タグにあった好きな建築物の話を書きたいな〜と思っている。あと気力があれば、同様に本の会のまとめも。
2025年からは、このしずインを始めたので、別途記事にまとめている映画もあります。『映画ベルサイユのばら』『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』『国宝』『罪人たち』は興味あったら各リンクからどうぞ。
ジャズ大名
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
ミッキー17
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ
バグダッド・カフェ
教皇選挙
大長編 タローマン 万博大爆発
タクシー運転手 約束は海を越えて
ジャズ大名
監督:岡本喜八 1986年
あらすじ:筒井康隆の小説を映画化した時代劇コメディー。幕末、黒人奴隷が駿河湾に漂着し、小さな藩に流れ着く。その男が持ち込んだ音楽に魅了された藩主は、幕末の動乱のさなかでジャムセッションに熱中していく。
ラジオドラマ化や、KAAT神奈川芸術劇場で舞台化もされている。幕末という、倒幕派と佐幕派が入り乱れ、誰が勝つのかもわからない混乱の時代。どちらにつくか決めなければならないが、藩主は政治や戦いよりも音楽を選ぶ。意味わかんないんだけど面白い。
地上では侍たちが命懸けで斬り合っている一方で、地下の座敷牢ではジャムセッションが繰り広げられていてシュール。クラブみたいな雰囲気(行ったことないけど)。最終的に全員トランス状態みたいな、ハイになって、むちゃくちゃになって終わる。
観終わった直後よりも、少し時間が経ってから、そういえば、面白い映画だったなとじわじわ実感する、不思議な作品だった。今度、KAAT神奈川芸術劇場で舞台が再上演するらしいので、観に行きたいな〜と思ってます!
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
監督:ソイ・チェン 2025年
あらすじ:1980年代の香港・九龍城砦を舞台に、黒社会へ足を踏み入れた青年・陳洛軍(チャン・ロッグワン)が、九龍城砦で暮らす人々との出会いを通して居場所を見つけていく。やがて巨大な黒社会の抗争に巻き込まれ、仲間たちとともに戦いへ身を投じる。
熱量あふれるアクション作品。黒社会で生きる男たちの抗争や友情が描かれている。公開当初に実質ハイローみたいな感想を見かけて、慌てて観に行った。最近映画の公開すぐ終わっちゃうから(結果杞憂に終わった)。私が観に行ったときは、平日の夜でほぼ満席。館内に独特な高揚感があって、良いタイミングで観れたと思います。
登場人物はみんなとにかく強い。気功を使った超人的なアクションもあり、お祭り映画のような勢いで、120分間ほとんど戦い続ける。飽きることなく最後まで楽しめた。九龍城砦のセットも圧巻で、迷路のような街並みや雑然とした空気感が再現されている。
特に印象に残ったのは、龍巻風(ロン・ギュンフォン)役のルイス・クー!大きなサングラスをかけ、常にタバコをくわえた姿がとにかくカッコいい!!イケおじ。名前もイケてる。病を抱えながらも病院には行かず、それでも圧倒的な強さ。お願いだから、病院に行ってくれ……
ミッキー17
監督:ポン・ジュノ 2025年
あらすじ:氷に覆われた惑星の開拓計画に参加したミッキーは、「エクスペンダブル(使い捨て要員)」として危険な任務に送り込まれる。死んでも記憶と人格を引き継いだ新しい肉体として生き返るが、事故によって同じ人格を持つ二人のミッキーが同時に存在してしまう。『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督によるSFエンターテインメント。
私が好きな俳優の成河さんが、ミッキーの吹き替えをするとのことで興味をもった。あっという間に吹替版の公開が終了してしまったんだけど、トルコ行きの飛行機に入っていて、そこで観た。
ミッキーは死ぬたびに人格や記憶を新しい肉体へ人体プリンティングで移植され、何度も危険な任務や人体実験を繰り返させられる。死んでも代わりがいるという設定が、資本主義や労働、人間の尊厳への皮肉になっている。
ミッキー17というタイトルは、主人公が17番目のミッキーだから。手違いによって、同じ人格を持つはずのミッキー17とミッキー18が同時に存在することになる。そこで改めて、ミッキー17は自意識を実感して、自己喪失の恐怖を認識する。
複製される際には記憶も引き継がれるものの、それぞれのミッキーは性格が微妙に異なるという設定が面白かった。同じ記憶を持っていても、元の人格のどの部分が強調されるかによって、全然違う人になるんだなと思う。18は17よりもちょっと冷酷なんだけど、頼れる相棒みたいな感じでよかった。成河さんが吹き替え担当するの分かる〜〜ってなりました。ミッキーの彼女と三角関係というか、3人交際?とかしてて、いいのかそれで、彼女の方は(ノリノリで交際してる)。
クリーパーと呼ばれる怪物がいるんだけど、見た目は巨大なミミズやムカデのようだが、『風の谷のナウシカ』の王蟲を思わせる存在で、仲間が傷つけられると群れで襲いかかってくる。単なるモンスターではなく、彼らにも社会や感情があることを感じさせる。
笑える話では全然ないんだけど、ブラックコメディ的な、社会風刺的な面白さがある。ラストは意外にも晴れやか終わり方だった。爆破して終わるのが好きなのかも、私。
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ
監督:ジム・ジャームッシュ 2013年
あらすじ:何世紀もの時を生き続ける吸血鬼アダムとイヴ。人間を襲うことなく、闇ルートから輸血用の血液を手に入れながら静かに暮らしている二人。しかし、イヴの妹エヴァの訪問によって、日常が大きく変わる。
現代ヴァンパイアものだよ〜!予告編のおしゃれな雰囲気に惹かれて、前売り券まで買って観た。マイティ・ソー、アベンジャーズのロキが昔好きで、演じているトム・ヒドルストンも好きでした。アダムを演じるトム・ヒドルストンと、イヴを演じるティルダ・スウィントンの存在感が圧倒的で、二人のビジュアルだけでも映画を観る価値がある!
アダムは長く生きすぎたことで人間社会に疲れ果てた自己破滅的なミュージシャン。現在は人間を殺さず、輸血用の血液を手に入れながら静かに生きている。ジム・ジャームッシュ監督の好きなものを詰め込んだような感じ。ずっと夜のシーンで、派手な展開はほとんどない。サウンドトラックがめちゃくちゃ良いので聴いてほしい!
イヴはモロッコに住んでいるんだけど、この映画に映る、夜の街の雰囲気が素敵でいつか行ってみたい。
①で紹介した『ベルリン・天使の詩』のヴィム・ヴェンダース監督の作品や岩井俊二監督もそうなんだけど、静かな時間が流れる映画が大好きです。岩井俊二も『ヴァンパイア』という現代を生きるヴァンパイアものの映画を撮っている。
バグダッド・カフェ
監督:パーシー・アドロン 1989年
あらすじ:アメリカ西部の砂漠地帯にある、寂れたガソリンスタンド兼モーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」。夫と喧嘩別れしたドイツ人女性ジャスミンが偶然そこへ立ち寄り、個性豊かな人々との交流を通して、少しずつ周囲や自分自身を変えていく。
シアタークリエでミュージカルが上演されていて、映画も観た。場所は固定なんだけど、ガソリンスタンドを舞台にしているからか、ロードムービーのような空気感がある。大きな事件が起こるわけではない。人と人との関係が少しずつ変化し、ちょっと温かい気持ちになれる。
曲「Calling You」が有名で、映画の穏やかな雰囲気によく合っている。冒頭と終盤に流れるんだけど、全然感じ方が違う。冒頭はもの寂しい感じがあるけど、終盤はあなたを待っていたというメッセージに聞こえる。シスターフッド的な要素もある。
映像も撮り方もこだわっていた。道路を斜めに切り取る構図や、どこまでも青い空、黄色のタンク、登場人物の鮮やかな衣装など、色彩のコントラストが美しく、おしゃれな画面づくりが良かった。
教皇選挙
監督:エドワード・ベルガー 2025年
あらすじ:ローマ教皇の死去を受け、新たな教皇を選ぶ「コンクラーベ(教皇選挙)」が始まる。世界中から集まった枢機卿たちは礼拝堂に閉じこもり、投票を重ねる。しかし、その裏では陰謀やスキャンダル、思想の対立が渦巻く。
教皇選挙という閉ざされた世界を舞台にした政治サスペンス。新教皇の座を巡って、水面下では陰謀や差別、スキャンダル、駆け引きが繰り広げられる。選挙を取り仕切る枢機卿・主席のトマス・ローレンスの視点で描かれ、権力争いに巻き込まれながら苦悩する。中間管理職的な調整役になったり、事件が起きたら解決しようとする。
池井戸潤作品のような、オジさんたちがバチバチに対立するドラマに似た面白さがある。ただし、半沢直樹みたいなのはいない。特にリベラル派のベリーニと保守派のテデスコの対比が面白い。
カトリック教会の権威構造にも目が向く。伝統的で豪華な衣装をまとい権力を持つ枢機卿たちと、その生活を支えながらも、決して表舞台には立たないシスターたちとの対比。枢機卿たちはシスターをいないもの、空気のように扱っている。感謝もしない。
現代社会の政治やフェミニズム、世界各地で起きている分断や対立を映し出しているようにも感じた。
大長編 タローマン 万博大爆発
監督:藤井亮 2025年
あらすじ:1970年代に放送された特撮番組という設定で制作された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』の劇場版。1970年の大阪万博を舞台に、2025年の未来から現れた奇獣に対し、CBG(地球防衛軍)とタローマンが超えて立ち向かう。
滑ってないかビビりながら観たのですが、テーマを盛り込みながら長編映画として意外に骨太で見応えがあった。たくさん子どもが観にきていて、特撮ものとして子どもにウケてることにびっくりしました。キャラクター性もウケてるのかも?
初め映画化のオファーが来た際、テレビシリーズの総集編にプラスして〜と話があったが、岡本太郎の同じことを繰り返すなら死んでしまえという発言を受けて、イチから作っているらしい。
岡本太郎の「対極主義」がしっかりと反映されている。過去と未来、秩序と混沌といった相反するものを対立させるのではなく、矛盾したまま共存させることで新しい力を生み出すという考え方が、根底に流れている。この辺りはテレビシリーズではあまり盛り込めていなかった要素だったので、長編ならではだな〜と思ってました。
シュールでありながら、岡本太郎の思想にも自然と触れられ、観終わったあとには意外と考えさせられる映画だった。サカナクションの山口さんもちゃんと登場します!
タクシー運転手 約束は海を越えて
監督:チャン・フン 2018年
あらすじ:1980年、韓国・光州。民主化運動を軍が武力弾圧した「光州事件」を世界へ伝えるため、ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターは現地への潜入を試みる。彼を乗せたタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は、事件の真実を目の当たりにしていく。実話をもとにした作品。
タクシー運転手マンソプは、当初政治に無関心だったが、現地で軍による弾圧を目撃し、少しずつ変わっていく姿が描かれている。
重いテーマではあるが、人情味あふれる場面やユーモアも織り交ぜられており、エンタメ作品としての側面もある。とても観やすく、光州事件を知らない人にも届くように作られている。
とても凄惨な事件で、目を背けたくなる。まだたかだか40年程度しか経っていないことに驚く。国が国民を殺すこともある、国家が間違った方向へ進んでしまうこともある。国から情報規制がはられて、光州の状況は他の地域には伝わらない。噂で何かが起きていると伝わっても、どうせ危険思想を粛正してるだけだと、正しくは伝わらない。知らないこと、気づいていても目を背けることも罪なのでは、と思った。多くの人に観てほしい。