ブローガスト15本目。前回の続きです。また少し更新が開いてしまったけど、眼精疲労に苦しめられてました。漫画が多め。2025年後半〜2026年としてるけど、数調整で違う時期のもの入れたりとかテキトーになってる。これで一旦終わりです。
2025年からは、このしずインを始めたので、別途記事にまとめている本もあります。『思い出トランプ』『おいしいもんには理由がある』『自分の中に毒を持て』『牛を食べた日』『もぎりよ今夜も有難う』
こうまとめると、私は小説をあまり読んでないな。エッセイ・歴史・ノンフィクションが好き。
バッタを倒すぜアフリカで
ふつうの軽音部
黒博物館 ゴースト アンド レディ
BUTTER
ハプスブルク帝国 地球の歩き方 歴史時代シリーズ
バッタを倒すぜアフリカで
著者:前野ウルド浩太郎 2024年
『バッタを倒しにアフリカへ』から続く、昆虫学者・前野ウルド浩太郎によるバッタ研究の日々の記録。前作では、アフリカで大量発生するバッタによる農作物被害を研究するために現地に滞在したときの研究生活や、現地の人々との交流がメインどころで、エッセイ風に描かれていた。本作では、さらに研究そのものに踏み込み、バッタの生態や大量発生の仕組みなどを解説している。学術的な内容を扱いながらも、もちろん!研究生活の苦労話や現地の人々の暮らしや交流も描かれていている。
前作よりもかなり、ガチの学術書感はあるが、バッタにまったく興味がない人でも楽しめるように分かりやすく書かれている。前野ウルド浩太郎さん自身の人柄も伝わってくるので、難しい本という感じがしない。
大人気のティジャニももちろん登場。表紙にもいる。ティジャニはタクシーを運営しようと車を購入するのだが、いろいろあって難航。結構な浪費家で、前野ウルド浩太郎さんの財布をアテにしてる。たかられてないか?と心配になるのだが、二人の間には確かな友情があり、なんだかんだで憎めない人。前作とのつながりもかなりあるので、まずは『バッタを倒しにアフリカへ』を読んでから読んだ方がいいと思います。
ふつうの軽音部
クワハリ原作/出内テツオ漫画 2024年〜連載中
あらすじ :「次にくるマンガ大賞2024」Webマンガ部門第1位。女子高校生の鳩野ちひろは、高校入学をきっかけに軽音部へ入部する。バンドを結成し、音楽活動を始めるなかで成長していく。
さっぱりした雰囲気の漫画。令和の高校生ってこんな感じなんだ、と思いながら読んでいたけれど、昔の自分を振り返ると、こういうこと、あったかも?と思うところもあった。
仲間と練習したり、バンド内で揉めたり、険悪になったり、恋愛関係ですったもんだしたり、バンドを解散したり新たに結成したり…みたいな展開でストーリーが続く。キャラクターたちは、それぞれ悩みやコンプレックスを抱えているものの、それを必要以上に深掘りしていない。それが逆に気持ちよくて、重たくなりすぎずに読める。
「ふつうの軽音部」というタイトルが絶妙で、ごく普通の、多感な高校生が軽音部に入ったらどうなるのだろう、という視点で描かれている。軽音部での人間関係や、ちょっとしたすれ違い、音楽を通した自己表現、達成感などが描かれていて、「青春!」という感じがありつつも、過剰にキラキラしていないところがいい。
幸山厘ちゃんが好き。自身のバンド活動が円滑に進むよう裏で暗躍してる。暴れっぷりがいい。最近の話だと、別のキャラクターをフューチャーしていて若干大人しくなっているので、また彼女の活躍が見るのが楽しみ。
黒博物館 ゴースト アンド レディ
著者:藤田和日郎 2015年
あらすじ:イギリス・ロンドン。警視庁にある「黒博物館」は、犯罪にまつわる資料を収蔵する場所。そこには「かち合い弾」と呼ばれる謎の銃弾が保管されていた。その銃弾を見せてほしいという老人が現れる。そして、老人に取り憑いていた幽霊が語り部となり、「かち合い弾」にまつわる過去の物語を語り始める。幽霊のグレイと、看護師として自らの道を切り開こうとするフローレンス・ナイチンゲールの話。
「黒博物館」シリーズの第2弾。このシリーズはゴシックホラー的な雰囲気がある。他の作品を読んでなくても大丈夫だけど、第3弾の『三日月よ、怪物と踊れ』も面白いのでおすすめです。
フロー(ナイチンゲール)は家族からの束縛から逃れるために、グレイに自分を殺してと頼む。それに対してグレイはフローが絶望し、すべてを諦めたその時に殺すと約束をする。彼女の痛みと輝きに引き付けられ、その願いを叶えようとするグレイ。フローは絶望したときはグレイが殺してくれるという、ある意味での支えをもらい、自分の意志を押し通し、使命を全うしようとする。上下巻だけだけど、かなり読みごたえがある。
フローの道を切り拓いていく姿に胸を打たれる。ふたりのコンビ感がまた良い。自分とは違う他者との交流の中で、自分の願い、意志が形作られる。全然違うふたりだけど、お互いがお互いを照らし、良い方向へと進ませる。普遍的だけどこういうのが結局一番萌える!デオンという、男性として生きた女性が出てくるんだけど、もう好きですよ…こんなの…(敗北)となる。
劇団四季でミュージカル『ゴースト&レディ』として舞台化されているが、こちらも面白かった!マンガとはまた違った形で物語が立ち上がっていて、舞台版もおすすめしたい。もう千秋楽を迎えてしまったが、また近いうちやるのではと思う。
BUTTER
著者:柚木麻子 2017年
あらすじ:首都圏連続不審死事件、いわゆる木嶋佳苗事件をモデルの一つとして描いた小説。拘留されている主人公・梶井真奈子、通称「カジマナ」を、週刊誌記者の町田里佳が取材するところから物語が展開していく。
「太った、きれいでもない女性が、どうして男性をたぶらかすことができたのか」という事件への世間の見方が入り口なっている。ルッキズム(外見によって人を評価したり判断したりする考え方)に触れる。
カジマナを中心に、さまざまな人間関係や、それぞれの「他人を見る目」が描かれている。他人からの評価の視線にさらされる人たち。カジマナと里佳の人生が溶け合い、交錯していく。人と人との関係性も、さまざまな角度から描かれている。
とにかく食べ物の描写がおいしそうで、料理についての文章がとても印象に残る。ただおいしいものをおいしいと書くだけではなく、食べることそのものを通して、人間の欲望や食に対する価値観について考えさせられる。
引用:「ロックだよね、掃除とか料理ってさ。愛情や優しさじゃなくて、一番必要なのは、パワーっていうかさ......。なまくらな日常にのみこまれないような、闘志っていうかさ......」
この「料理」を定義するような文章が好き。料理や食べることには、利他的な部分だけではなく、かなり利己的な部分も含まれていると思う。作中には、料理教室でフランス料理を作る場面がある。大量の食材(生き物)を使い、たくさんの工程を経て、最終的にはほんの少しのスープになる。料理を作ること、そして食べることは、人間を人間たらしめる行為なのではないかと思った。
たとえ誰かのために作る料理だったとしても、その料理ができあがるまでには、自分自身の欲望やこだわり、手間をかけようとする意志がある。料理とは、誰かを喜ばせるための行為だけではなく、自分のとてつもない意志の果てにあるものなのかもと思った。食べること、料理すること、人が何かを欲することについても考えさせられる作品だった。面白かったです。
ハプスブルク帝国 地球の歩き方 歴史時代シリーズ
地球の歩き方編集室 2025年
旅行ガイドブックとして有名な『地球の歩き方』による別シリーズ。ハプスブルク帝「国」たしかに国だ。うまいこと考えるな。ハプスブルク家の歴史だけでなく、その背景にあるヨーロッパ各国の動きも一緒に紹介されている。あらためて世界史のおさらいもできるが、めちゃくちゃ複雑!正直理解できない!
戦争によって領土を広げるのではなく、婚姻によって国同士の関係を築いていったというハプスブルク家の歴史。けれどその結果、近親婚が繰り返されるなど、繁栄の裏側にある複雑な事情も知ることができる。
ハプスブルク家に関係する宮殿や美術館、教会など、実際に訪れることのできる観光スポットも紹介されている。歴史が中心ではあるけれど、旅行の想像も膨らむ。『地球の歩き方』らしい本になっていて、面白かった。